2025年07月02日

登山記録41(加治丘陵,川苔山)

No.103 加治丘陵
〔標高〕189m
〔標高差〕約110m(トーベ・ヤンソンの森から)
〔獲得標高差〕約300m
〔百名山認定〕ー
〔ヤマノススメ〕20巻,23巻
〔県のグレーディング〕ー
〔私的な難易度と感想〕2A+
 『ヤマノススメ』の23巻に,夏休み中の雪村あおいが家でだらだらしていると,母親に来客用の良いお茶を買ってきてほしいと頼まれる。そこで,どうせなら散歩を兼ねて少し遠くに行こうと考え,飯能の自宅から加治丘陵を越えて狭山茶を買いに行く……という話がある。加治丘陵は20巻ですでに登場していて小春とここなが登っているのだが,地元の低山を二度も出さざるを得なかったところにコロナ禍真っ只中の『ヤマノススメ』の窮状を察することができる。ともあれ,あおいは地元に意外と良い低山があることに感動しつつ,さくっと狭山茶を買って帰るのだった。
 というわけで,聖地巡礼である。雪村家の厳密な場所はわからないので飯能駅からスタート,飯能市街を抜けて加治の住宅街を抜け,次第に埼玉の田舎の風情が出てきたところでトーベ・ヤンソンの森に到着。飯能市がムーミンを推して町興ししているだけあって家族連れでも歩きやすい道を通り,この森の奥に加治丘陵への登山道が続いていくはずだが,なかなか入り口が見つからない。そこでYAMAPの先駆者たちの活動日記を手がかりに探すに,隠されているようにひっそりとした入り口が見つかった。

ここからの道が短いながらも急登で,とてもじゃないが夏休みの暇つぶしでお茶を買いに行くついでに登っていい山ではない。しかも小刻みなアップダウンがあり,単純な標高差は110mほどなのに獲得標高差は300mもある辺りで察してほしい。雪村あおいは『ヤマノススメ』の中では登山初心者に近いポジションだったが,流石に23巻まで来ると(作者の感覚のズレに伴って)他の登場人物並に感覚がおかしくなっている。ともあれ加治丘陵のピーク阿須山に到着,ここは眺望が無いが,少し進むと高さ20mと立派な桜山展望台があり,こちらからの見晴らしは良い。

特に狭山茶の茶畑が広がる光景は圧巻。この後は入間市側に下りて,その狭山茶を買いに行った。お茶屋さんで店員さんにお茶をいただいて雑談になり,飯能から山を越えてきたというと見事に呆れられるというオチがついた。その後は茶畑を抜けて西に向かって歩き,塩船観音を拝観して,最終的に青梅駅まで散歩した。




加治丘陵・塩船観音(飯能から青梅へ) / 稲田義智さんの活動データ | YAMAP / ヤマップ



No.104 川苔山
〔標高〕1363m
〔標高差〕約950m
〔獲得標高差〕約1200m
〔百名山認定〕ー
〔ヤマノススメ〕ー
〔県のグレーディング〕ー
〔私的な難易度と感想〕3A+
 6月上旬,2025年はすでに暑くなってきたので,滝が多くて涼しいという話を聞く川苔山を登った。登りは期待に応える登山道で,ずっと脇を並走してくれた豊かな水を湛える沢筋は,見た目もさることながら,涼しい風を登山道にもたらしてくれた。滝が豊富で沢筋に軽く10はあり,特に最後に控えた百尋の滝は見応え十分であった。山頂も眺望は一方向(西)にしか開けていなかったが,堂々とした雲取山が見えて良かった。一方で下山道はひたすら樹林帯の凡庸な登山道を下りる形で途中で飽きてしまった。スリルを求めて鋸尾根から下りるべきだったかもしれない。この下山路だけがこの山の欠点である。
 難易度は基本的に3A+というくらいだが,東京都ががんばって整備しても,それ以上の速さで朽ちていくのがわかる。とりわけ橋は沢筋なので何本も橋がかかっていたが,急速に朽ちていっており,基本的に全部揺れる。
 奥多摩では有名な山ながら,逆に東京都民の奥多摩ハイカーにしか知られていない感があり,登山客は多かったが,他の奥多摩の山と違って登り慣れていて登るのが速い人が多かった。雲取山とは別の意味で奥多摩のラスボスということか。そういうポジションであることもあってか,2025年6月時点で『ヤマノススメ』未登場というのは不思議ではないのかもしれない。かく言う私も後は御前山に登ると奥多摩の主要な山は大体終わった感じがする。




百尋ノ滝山・川苔山(川乗山) / 稲田義智さんの活動データ | YAMAP / ヤマップ