2025年08月06日
登山記録42(乗鞍岳,東吾妻連峰)
No.105 乗鞍岳
〔標高〕3026m
〔標高差〕約320m(畳平から)
〔獲得標高差〕約420m(畳平から剣ヶ峰に直行した場合)
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕22巻
〔県のグレーディング〕2B
〔私的な難易度と感想〕1B-
まだ6月下旬だというのにすでに暑すぎるということで避暑へ。3000m級なのに獲得標高差500mという手軽さで,期待通りの涼しさであった。火口湖が多く,そのうちいくつかはいわゆる「ドラゴンアイ」の状態になってて非常に美しい。登山道は非常によく整備されていたが,まだ6月で雪渓が残っていた。予期して持参したチェーンスパイクが活躍した。まだ雪渓が残っているということはハイシーズン突入前ということで,比較的空いていたのも楽しめた要因だったと思われる。とはいえ,深田久弥が『日本百名山』で観光地になってしまっていることを嘆いている通り,渋滞もまた乗鞍岳の名物かもしれない。眺望は,梅雨の切れ目だったのでやや雲が多かったものの,御嶽山以外は割と見えた。白山が遠望に見えたが,やはり美しい山で,あれも登りたいものだ。高山植物ではハクサンイチゲが綺麗だった。難易度は3000m級ということと雪渓を加味してもB-,加味しなければA+でも良さそう。木曽駒ヶ岳よりも技術的に楽で,最も易しい3000m級の山と言ってよさそう。
乗鞍岳には神社がなぜか2個所あり,下山後に行った乗鞍高原のビジターセンターの展示曰く,畳平にある方が岐阜県の,山頂にある方が長野県の神社で信仰が分かれているとのこと。県境になっている山でも信仰が分裂しているパターンは初めて見た。
乗鞍岳といえば『ヤマノススメ』でも『mono』でも訪問されている聖地である。『ヤマノススメ』ではお手軽に登れる高山はないかとクラスメイトに問われ,あおいが連れて行った山であるが,クラスメイトたちは苦も無く登っていて,紹介したあおいの面目躍如となった回であった。一方『mono』ではスケボーでつづら折りの長距離斜面を一気に下る動画を撮影したいという動機だったため,乗鞍岳の剣ヶ峰を登っておらず,畳平の目の前にある魔王岳のみをピークハントしている。同じアウトドア漫画でも対照的である。私も『mono』のために魔王岳にも登ったが,それよりも気になったのはその名前で,魔王とはどこから出てきたものか。名前の由来は2つの説があるようで,1つは円空が登頂した際に,乗鞍岳山頂に住むと恐れられていた魔神を封じるために千体仏を彫り池に沈めて祈祷したとされているところから命名されたという説。もう1つが,戦時中に日本陸軍が魔王岳の斜面を用いて飛行機のエンジンを開発していたので,人を遠ざけるために山の名前を改名したという説。どうも前者の方が信憑性があると思うのだが,陸軍が乗鞍岳で飛行機の高地実験をしていたこと自体は本当で,乗鞍スカイラインはそのために敷かれた道路を転用したものである。そこから生まれた噂ではないか。
No.106 東吾妻山・一切経山・吾妻小富士
〔標高〕1975m・1949m・1704m
〔標高差〕約300m(浄土平から)
〔獲得標高差〕約730m(三座周回),約400m(一切経山ピストン)
〔百名山認定〕三百名山(一切経山)
〔ヤマノススメ〕ー
〔県のグレーディング〕ー
〔私的な難易度と感想〕3A+(三座周回)
浄土平から東吾妻山・一切経山・吾妻小富士を縦走。東吾妻山はさほど期待しておらずピークハントのつもりで登り,実際に道中は松の樹林帯に沈んでいたが,山頂付近はハイマツに変わって開け,見事な眺望だった。東吾妻山の山頂からは磐梯山と桧原湖・猪苗代湖がまとめて視界に入り,磐梯山がこれほど美しく見られる山は希少だろう。遠方には西吾妻山も見える。これ単体で登る価値はある。なお,山頂を越えて少し景場平側に進むと展望所があるが,山頂と全く眺望が変わらないので,行く必要は全く無い。
東吾妻山下山後は鎌沼の縁を通って一切経山へ。禍々しさすら感じる深い青はその「魔女の瞳」の名前にふさわしく,必見。今まで見てきたどの五色沼とも違うように思われた。眺望もすばらしく,福島市が一望できる。東吾妻山は少し遠いので行かず,一切経山と吾妻小富士だけ回るのはお手軽登山として推奨できる。吾妻小富士は登る山というよりも見る山かもしれない。意外とザレていて,一切経山よりつらいかもしれない。眺望も一切経山の方が良い。難易度は三座周回で3A+,一切経山と吾妻小富士だけ回るのなら2A。非常によく整備されている。
『日本百名山』では,吾妻山といえば山域が広く,かつ中心が存在しないであるが,深田も「これほど茫洋としてつかみどころがない山もあるまい」と冒頭で書いている。例によって早々にスキーの話を始めるが,ここではアクセスの良い東吾妻にばかりスキーヤーが集まって,広い山域に目が向けられていないことを批判的に取り上げている。深田にとってのスキーとはバックカントリーだったのだろう。ついでに磐梯吾妻スカイラインが通ってにわかが増え,「我々はいよいよ山奥深く逃げ込むよりほかはない」と嘆いている。
山名の由来について,珍しくも深田をもってして調べがつかず,山域に家形山があるからそれが変じて「東屋」となり現在の字が当てられた……という自説を唱えている。それでは現代視点で答え合わせをするかとインターネットの力を借りたところ,山と溪谷オンラインに同じ説が載っていた。これとは別に『角川日本地名大辞典』も深田と同じ説を採っているというページも見つけたので,深田の説はかなり強そうである。なお,吾妻山という名前の山は日本全国に点在していて,広島・島根県境の吾妻山は「イザナギがイザナミを偲んで『我が妻』と呼びかけた」説を採っていた。さすがは島根県の山である。群馬県の四阿山もヤマトタケルがやはり妻を偲んだことを由来としていて,ここから類推するなら福島の吾妻山も誰かしらが妻を偲んでいても不思議ではない。深田自身は,少なくともヤマトタケル説について「それは附会であって,やはり東屋からきたと見る方が適切」と退けている。
また,古い記録では一切経山が主峰だったようだが,確かにわずかな標高差や眺望を考慮せずに主峰を定めるなら,噴煙たなびき五色沼も備える一切経山になるだろうから違和感がない。深田久弥の指定は吾妻連峰をまとめて百名山とし,主峰は西吾妻山としているが,東西どちらも登った感想で言えばこれらは全く別の山だろう。日本三百名山では西吾妻山と一切経山が別カウントされていて二座が入っている形であるが,この方が妥当と思われる。
〔標高〕3026m
〔標高差〕約320m(畳平から)
〔獲得標高差〕約420m(畳平から剣ヶ峰に直行した場合)
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕22巻
〔県のグレーディング〕2B
〔私的な難易度と感想〕1B-
まだ6月下旬だというのにすでに暑すぎるということで避暑へ。3000m級なのに獲得標高差500mという手軽さで,期待通りの涼しさであった。火口湖が多く,そのうちいくつかはいわゆる「ドラゴンアイ」の状態になってて非常に美しい。登山道は非常によく整備されていたが,まだ6月で雪渓が残っていた。予期して持参したチェーンスパイクが活躍した。まだ雪渓が残っているということはハイシーズン突入前ということで,比較的空いていたのも楽しめた要因だったと思われる。とはいえ,深田久弥が『日本百名山』で観光地になってしまっていることを嘆いている通り,渋滞もまた乗鞍岳の名物かもしれない。眺望は,梅雨の切れ目だったのでやや雲が多かったものの,御嶽山以外は割と見えた。白山が遠望に見えたが,やはり美しい山で,あれも登りたいものだ。高山植物ではハクサンイチゲが綺麗だった。難易度は3000m級ということと雪渓を加味してもB-,加味しなければA+でも良さそう。木曽駒ヶ岳よりも技術的に楽で,最も易しい3000m級の山と言ってよさそう。
乗鞍岳には神社がなぜか2個所あり,下山後に行った乗鞍高原のビジターセンターの展示曰く,畳平にある方が岐阜県の,山頂にある方が長野県の神社で信仰が分かれているとのこと。県境になっている山でも信仰が分裂しているパターンは初めて見た。
乗鞍岳といえば『ヤマノススメ』でも『mono』でも訪問されている聖地である。『ヤマノススメ』ではお手軽に登れる高山はないかとクラスメイトに問われ,あおいが連れて行った山であるが,クラスメイトたちは苦も無く登っていて,紹介したあおいの面目躍如となった回であった。一方『mono』ではスケボーでつづら折りの長距離斜面を一気に下る動画を撮影したいという動機だったため,乗鞍岳の剣ヶ峰を登っておらず,畳平の目の前にある魔王岳のみをピークハントしている。同じアウトドア漫画でも対照的である。私も『mono』のために魔王岳にも登ったが,それよりも気になったのはその名前で,魔王とはどこから出てきたものか。名前の由来は2つの説があるようで,1つは円空が登頂した際に,乗鞍岳山頂に住むと恐れられていた魔神を封じるために千体仏を彫り池に沈めて祈祷したとされているところから命名されたという説。もう1つが,戦時中に日本陸軍が魔王岳の斜面を用いて飛行機のエンジンを開発していたので,人を遠ざけるために山の名前を改名したという説。どうも前者の方が信憑性があると思うのだが,陸軍が乗鞍岳で飛行機の高地実験をしていたこと自体は本当で,乗鞍スカイラインはそのために敷かれた道路を転用したものである。そこから生まれた噂ではないか。
乗鞍岳 / 稲田義智さんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
No.106 東吾妻山・一切経山・吾妻小富士
〔標高〕1975m・1949m・1704m
〔標高差〕約300m(浄土平から)
〔獲得標高差〕約730m(三座周回),約400m(一切経山ピストン)
〔百名山認定〕三百名山(一切経山)
〔ヤマノススメ〕ー
〔県のグレーディング〕ー
〔私的な難易度と感想〕3A+(三座周回)
浄土平から東吾妻山・一切経山・吾妻小富士を縦走。東吾妻山はさほど期待しておらずピークハントのつもりで登り,実際に道中は松の樹林帯に沈んでいたが,山頂付近はハイマツに変わって開け,見事な眺望だった。東吾妻山の山頂からは磐梯山と桧原湖・猪苗代湖がまとめて視界に入り,磐梯山がこれほど美しく見られる山は希少だろう。遠方には西吾妻山も見える。これ単体で登る価値はある。なお,山頂を越えて少し景場平側に進むと展望所があるが,山頂と全く眺望が変わらないので,行く必要は全く無い。
東吾妻山下山後は鎌沼の縁を通って一切経山へ。禍々しさすら感じる深い青はその「魔女の瞳」の名前にふさわしく,必見。今まで見てきたどの五色沼とも違うように思われた。眺望もすばらしく,福島市が一望できる。東吾妻山は少し遠いので行かず,一切経山と吾妻小富士だけ回るのはお手軽登山として推奨できる。吾妻小富士は登る山というよりも見る山かもしれない。意外とザレていて,一切経山よりつらいかもしれない。眺望も一切経山の方が良い。難易度は三座周回で3A+,一切経山と吾妻小富士だけ回るのなら2A。非常によく整備されている。
『日本百名山』では,吾妻山といえば山域が広く,かつ中心が存在しないであるが,深田も「これほど茫洋としてつかみどころがない山もあるまい」と冒頭で書いている。例によって早々にスキーの話を始めるが,ここではアクセスの良い東吾妻にばかりスキーヤーが集まって,広い山域に目が向けられていないことを批判的に取り上げている。深田にとってのスキーとはバックカントリーだったのだろう。ついでに磐梯吾妻スカイラインが通ってにわかが増え,「我々はいよいよ山奥深く逃げ込むよりほかはない」と嘆いている。
山名の由来について,珍しくも深田をもってして調べがつかず,山域に家形山があるからそれが変じて「東屋」となり現在の字が当てられた……という自説を唱えている。それでは現代視点で答え合わせをするかとインターネットの力を借りたところ,山と溪谷オンラインに同じ説が載っていた。これとは別に『角川日本地名大辞典』も深田と同じ説を採っているというページも見つけたので,深田の説はかなり強そうである。なお,吾妻山という名前の山は日本全国に点在していて,広島・島根県境の吾妻山は「イザナギがイザナミを偲んで『我が妻』と呼びかけた」説を採っていた。さすがは島根県の山である。群馬県の四阿山もヤマトタケルがやはり妻を偲んだことを由来としていて,ここから類推するなら福島の吾妻山も誰かしらが妻を偲んでいても不思議ではない。深田自身は,少なくともヤマトタケル説について「それは附会であって,やはり東屋からきたと見る方が適切」と退けている。
また,古い記録では一切経山が主峰だったようだが,確かにわずかな標高差や眺望を考慮せずに主峰を定めるなら,噴煙たなびき五色沼も備える一切経山になるだろうから違和感がない。深田久弥の指定は吾妻連峰をまとめて百名山とし,主峰は西吾妻山としているが,東西どちらも登った感想で言えばこれらは全く別の山だろう。日本三百名山では西吾妻山と一切経山が別カウントされていて二座が入っている形であるが,この方が妥当と思われる。
東吾妻山・一切経山・吾妻小富士 / 稲田義智さんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
Posted by dg_law at 12:00│Comments(0)