2025年08月07日
登山記録43(蔵王山,月山)
No.107 蔵王山
〔標高〕1841m
〔標高差〕約180m(ロープウェー山頂駅から)
〔獲得標高差〕約310m
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕ー
〔県のグレーディング〕1A
〔私的な難易度と感想〕1A+
蔵王山は山形県側からならロープウェーがあり,宮城県側からならスカイラインがあって,どちらも八合目がスタートになり,登頂容易な山である。しいて言えば宮城県側から登ると出発してすぐにお釜があり,山形県側から登ると山頂を越えないとお釜にたどりつかない。今回の私は山形県側から登ったが,比較するに宮城県側からに比べて優位になる点があまり無い。次回は宮城県側から登りたい。難易度は1Aか1A+。火山なのでザレている箇所もあるが,基本的には高尾山が登れれば登れる山といえる。
標高1670mからのスタートでずっと稜線歩き,運動強度も低かったため,涼しい登山となった。冬にはスノーモンスターに化けるのであろう疎林帯を抜けると,後は概ね低木・草原であり,お釜に近づくと草木が消滅して火山らしい赤茶けた地面に変わる。なお,間違えても大して実害はないが,お釜に直行する道と先に山頂(熊野岳)に登る道の分岐は非常にわかりにくいので注意が必要。舗装してあるのがお釜に直行する道で,されていないが山頂への道である。有名なお釜は鮮やかな緑色で,五色沼と言われて想像する色であった。
山名の由来のため,例によって『日本百名山』を引くに,蔵王権現を勧請する前は刈田岳という名前だったそうで,この山名は宮城県側からの登山口の目の前にある山に引き継がれている。というよりも昔はお釜に近いこちらが主峰とみなされていたのではないか,というのが深田の説である。そう聞くと宮城県側からの登山の方が由緒正しく聞こえるが,やはり山形県側の麓の地名がやたらと蔵王を名乗りだしたのは観光のためであり,観光利用は山形県側の方が早いことを深田も逃さず記している。宮城県が出遅れたのは観光資源の豊富さの差で,蔵王山に固執する必要がなかったためだろうか。深田が蔵王山に登ったのは例によってスキーのためで,山形県側からであった。戦後には混雑を避けるため登っていないというのは深田らしい。
No.108 月山
〔標高〕1984m
〔標高差〕約480m(リフト山頂駅から)
〔獲得標高差〕約600m(姥ヶ岳周回)
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕ー
〔県のグレーディング〕2B
〔私的な難易度と感想〕2B
蔵王山の翌日に登頂。リフト麓駅では「アイゼンが必要」という注意書きが目立つところに貼られており,実際に雪渓が多かった。無理に登ろうとして滑落する人が多いのだろう,この日も救助のヘリが飛んでいるのを目撃した。7月の中旬,すでに雪渓などあるはずがなかろうという予測でアイゼンを持ってこない登山者は多そうで,しかもツボ足でも行けそうに見えてしまう雪渓だったので,余計に事故が起きそうに思えた。私は行きは月山山頂に直行して,雪渓が3つ。1・2つめはツボ足で登れたが,3つめは軽アイゼンを履いた。下山は姥ヶ岳を巡っての下山で,雪渓は2つ。こちらも軽アイゼンが必要な斜度であった。難易度は,雪渓がなくても短めの渡渉が何箇所かあるほか,軽い岩場もあって,山形県のグレーディング2Bは適切である。雪渓を加味しても2B+でいいだろう。
行った日の道中はそれなりに晴れていて,遠方には朝日連峰と吾妻連峰を見渡せた。特に大朝日岳の雄大さは感動した。しかし,山頂に近づくに連れ雲行きは怪しくなっていき,とうとう完全にホワイトアウトしてしまう。それもそのはずで,日に照らされた雪渓が猛然と溶けてそのまま蒸気と化し,湿った風が斜面から吹き上がって一気に雲となり,それが山頂を襲っていた。「雲発生装置」とは同行者の弁で,言い得て妙である。これでは山頂が晴れることがない。晴れた山頂が見たければ朝早くに行くか,雪渓が溶け切った時期(8月以降か)に行った方がいい。
月山神社は写真撮影禁止な上に拝観料500円を徴収されるが,大して見るものがない上にピークではないので注意しよう。あの徴収システムはあたかも500円払わないとピークがとれないような雰囲気を醸し出しているので,騙された登山者が多数ではなかろうか。山頂に立っていた「八紘一宇」の石碑と合わせて,月山神社の印象は悪い。
帰路に経由した姥ヶ岳は,遠回りになるが稜線歩きになるので風通しが良く,こちらの方が涼しく,眺望も良かった。姥ヶ岳の長い雪渓ではスキーに興じる人々が多かった(プロに近い人の練習場なのか,非常に上手い人が多かった)。下山してからリフト駅のポスターを見ると「7月までスキーできる」と書いてあり,なるほど,7月のスキーは月山の売りらしい。最終的な総合評価をつけておくと,百名山に値する良い山ではあると思うが,登山道や景色がやや単調だったり,山頂の月山神社の印象が悪かったりで,他の百名山と比べると少し低めの評価に落ち着いてしまう。五十名山で切るなら私は入れない。
最後にいつも通り『日本百名山』を引いておこう。深田は,月山の由来は月読尊信仰のためであるが,月のように丸く優しい山であることも「心の底には」あったのではないかと指摘している。実際に月山のピークはわかりにくい(それ故に上述のような錯誤も発生する)。後は深田らしく出羽三山に言及している。私も残り二座に登りたかったが,旅程の都合上,鳥海山に登りに行く時にでもということになってしまった。続いて深田は松尾芭蕉が出羽三山に登ったことに触れ,「昔の文人で二千メートルに近い山に登った紀行は珍しい」と述べている。長く歩いてはいても登山に慣れていない松尾芭蕉はかなり苦戦したようだ。それに対して深田は松尾芭蕉の足跡をたどりつつ「たいした苦労もなく月山の上に立った」とのことで,流石に体力が違う。最後にやはり深田らしく「盛夏でもなお多量の残雪があった」として夏スキーに触れていた。あれは深田の当時からの名物だったようで,歴史が長い。
〔標高〕1841m
〔標高差〕約180m(ロープウェー山頂駅から)
〔獲得標高差〕約310m
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕ー
〔県のグレーディング〕1A
〔私的な難易度と感想〕1A+
蔵王山は山形県側からならロープウェーがあり,宮城県側からならスカイラインがあって,どちらも八合目がスタートになり,登頂容易な山である。しいて言えば宮城県側から登ると出発してすぐにお釜があり,山形県側から登ると山頂を越えないとお釜にたどりつかない。今回の私は山形県側から登ったが,比較するに宮城県側からに比べて優位になる点があまり無い。次回は宮城県側から登りたい。難易度は1Aか1A+。火山なのでザレている箇所もあるが,基本的には高尾山が登れれば登れる山といえる。
標高1670mからのスタートでずっと稜線歩き,運動強度も低かったため,涼しい登山となった。冬にはスノーモンスターに化けるのであろう疎林帯を抜けると,後は概ね低木・草原であり,お釜に近づくと草木が消滅して火山らしい赤茶けた地面に変わる。なお,間違えても大して実害はないが,お釜に直行する道と先に山頂(熊野岳)に登る道の分岐は非常にわかりにくいので注意が必要。舗装してあるのがお釜に直行する道で,されていないが山頂への道である。有名なお釜は鮮やかな緑色で,五色沼と言われて想像する色であった。
山名の由来のため,例によって『日本百名山』を引くに,蔵王権現を勧請する前は刈田岳という名前だったそうで,この山名は宮城県側からの登山口の目の前にある山に引き継がれている。というよりも昔はお釜に近いこちらが主峰とみなされていたのではないか,というのが深田の説である。そう聞くと宮城県側からの登山の方が由緒正しく聞こえるが,やはり山形県側の麓の地名がやたらと蔵王を名乗りだしたのは観光のためであり,観光利用は山形県側の方が早いことを深田も逃さず記している。宮城県が出遅れたのは観光資源の豊富さの差で,蔵王山に固執する必要がなかったためだろうか。深田が蔵王山に登ったのは例によってスキーのためで,山形県側からであった。戦後には混雑を避けるため登っていないというのは深田らしい。
蔵王山 / 稲田義智さんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
No.108 月山
〔標高〕1984m
〔標高差〕約480m(リフト山頂駅から)
〔獲得標高差〕約600m(姥ヶ岳周回)
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕ー
〔県のグレーディング〕2B
〔私的な難易度と感想〕2B
蔵王山の翌日に登頂。リフト麓駅では「アイゼンが必要」という注意書きが目立つところに貼られており,実際に雪渓が多かった。無理に登ろうとして滑落する人が多いのだろう,この日も救助のヘリが飛んでいるのを目撃した。7月の中旬,すでに雪渓などあるはずがなかろうという予測でアイゼンを持ってこない登山者は多そうで,しかもツボ足でも行けそうに見えてしまう雪渓だったので,余計に事故が起きそうに思えた。私は行きは月山山頂に直行して,雪渓が3つ。1・2つめはツボ足で登れたが,3つめは軽アイゼンを履いた。下山は姥ヶ岳を巡っての下山で,雪渓は2つ。こちらも軽アイゼンが必要な斜度であった。難易度は,雪渓がなくても短めの渡渉が何箇所かあるほか,軽い岩場もあって,山形県のグレーディング2Bは適切である。雪渓を加味しても2B+でいいだろう。
行った日の道中はそれなりに晴れていて,遠方には朝日連峰と吾妻連峰を見渡せた。特に大朝日岳の雄大さは感動した。しかし,山頂に近づくに連れ雲行きは怪しくなっていき,とうとう完全にホワイトアウトしてしまう。それもそのはずで,日に照らされた雪渓が猛然と溶けてそのまま蒸気と化し,湿った風が斜面から吹き上がって一気に雲となり,それが山頂を襲っていた。「雲発生装置」とは同行者の弁で,言い得て妙である。これでは山頂が晴れることがない。晴れた山頂が見たければ朝早くに行くか,雪渓が溶け切った時期(8月以降か)に行った方がいい。
月山神社は写真撮影禁止な上に拝観料500円を徴収されるが,大して見るものがない上にピークではないので注意しよう。あの徴収システムはあたかも500円払わないとピークがとれないような雰囲気を醸し出しているので,騙された登山者が多数ではなかろうか。山頂に立っていた「八紘一宇」の石碑と合わせて,月山神社の印象は悪い。
帰路に経由した姥ヶ岳は,遠回りになるが稜線歩きになるので風通しが良く,こちらの方が涼しく,眺望も良かった。姥ヶ岳の長い雪渓ではスキーに興じる人々が多かった(プロに近い人の練習場なのか,非常に上手い人が多かった)。下山してからリフト駅のポスターを見ると「7月までスキーできる」と書いてあり,なるほど,7月のスキーは月山の売りらしい。最終的な総合評価をつけておくと,百名山に値する良い山ではあると思うが,登山道や景色がやや単調だったり,山頂の月山神社の印象が悪かったりで,他の百名山と比べると少し低めの評価に落ち着いてしまう。五十名山で切るなら私は入れない。
最後にいつも通り『日本百名山』を引いておこう。深田は,月山の由来は月読尊信仰のためであるが,月のように丸く優しい山であることも「心の底には」あったのではないかと指摘している。実際に月山のピークはわかりにくい(それ故に上述のような錯誤も発生する)。後は深田らしく出羽三山に言及している。私も残り二座に登りたかったが,旅程の都合上,鳥海山に登りに行く時にでもということになってしまった。続いて深田は松尾芭蕉が出羽三山に登ったことに触れ,「昔の文人で二千メートルに近い山に登った紀行は珍しい」と述べている。長く歩いてはいても登山に慣れていない松尾芭蕉はかなり苦戦したようだ。それに対して深田は松尾芭蕉の足跡をたどりつつ「たいした苦労もなく月山の上に立った」とのことで,流石に体力が違う。最後にやはり深田らしく「盛夏でもなお多量の残雪があった」として夏スキーに触れていた。あれは深田の当時からの名物だったようで,歴史が長い。
月山・姥ヶ岳 / 稲田義智さんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
Posted by dg_law at 12:00│Comments(2)
この記事へのコメント
月山のスキー場は冬季閉鎖で夏だけ営業なんですよね。大昔は冬も営業していましたが、冬にわざわざこんな山までこなくてもスキーはできるので、アルペン競技の練習で年がら年じゅう滑るcrazyが夏だけ集まるからだとか、あるいは雪が多すぎてリフトが埋まるからだとか聞いたことがあります。
Posted by ななしのよっしん at 2025年08月15日 20:40
月山のスキー場はそうらしいですね。4月オープンで7月に閉まるというのは面白いものです。「雪が多すぎてリフトが埋まるから」説だとすると,雪が降りすぎてもスキーができないというのは難儀なことだなと思います。
Posted by DG-Law at 2025年08月18日 23:20