2025年12月18日

有名ロケ地巡り(大谷石採石場跡,ロックハート城,首都圏外郭放水路)

 あまり関心が無かったが行く機会があり,いつの間にか映画やMVの有名ロケ地を3つほど回っていたので記録を残しておく。

 大谷石採石場跡・大谷資料館。人に紹介した関係でニ度行っている。大谷石は宇都宮市で産出される耐火性・耐久性に優れつつ比較的軽い石材で,現在でも露天掘りで採掘されているが,以前は地下に向かって掘り進められていたため,広大な人口の洞窟が建設されることになった。人工物であるため綺麗な直線と直角で壁面が構成されており,独特な荘厳の雰囲気を漂わせている。このため頻繁に映画やMV,CMの撮影で使用されることになった。
 大谷石自体が美しい石材で,ここで大谷石の特徴を覚えてから地上に戻ると,宇都宮市街には多く大谷石が使われていることに気づいて楽しい。お勧めしたいのは松が峰教会で,なんとネオ・ロマネスク建築の教会である(ついでに言うと柱頭はイオニア式)。大谷石を使うとネオ・ゴシックよりもネオ・ロマネスクのような石の素材感が強く出る建築の方が良いという選択だったのだろうと思う。大変に美しく,東武宇都宮駅から近く,大谷石を見に宇都宮に行くなら絶対に寄るべき建築物と言えよう。この他,JR宇都宮駅近くの豪商の家が史跡になっており,蔵が大谷石になっているのも見応えがある建築物だった。とはいえ大谷石に惚れ込んで使いこなしたと言えばフランク・ロイド・ライトで,大谷資料館を見学した後に帝国ホテルやヨドコウ迎賓館をもう一度見ると,その装飾品としての適切な使い方に感動する。わざわざ芦屋まで持っていったくらいなのだから,よほど大谷石に惚れ込んでいたのだろう。
 大谷石採石場の近くでは大谷寺が良い。こちらは大谷石の岩壁に磨崖仏が彫られている寺で,その磨崖仏を保護するように寺院が建てられたため建物が洞窟にめり込むような形をしている。磨崖仏の千手観音はかなり劣化しているが平安中期の作例とされ,重要文化財指定されている。さらにこの大谷寺がある洞窟からは縄文土器も出土しており,隣接する資料館に展示されている。




 続いてロックハート城。スコットランド貴族のロックハート家が先祖顕彰のため1829年に建てたネオ・ゴシック様式の邸宅を日本に移築したもの。つまり,実は「中世(近世)風の近代建築」である。中世(近世)の城を移築したわけではなく,もう一捻りあるのだが,それがかえって面白い。また,建って200年ほどしか経っていないために保存状態が非常によく,模倣建築の面目躍如,内装を含めて隅々まで見学することが可能である。
 邸宅は解体してその一部を,当時はまだソ連だったシベリア鉄道をゴルバチョフ書記長の許可の下で利用して輸送していたり,一度原野商法らしきものに引っかかって北海道に移築しようとして計画が頓挫していたりと,様々なエピソードがあり,最終的にこの群馬の山奥に移築された。その建築物の保存状態の良さから様々なドラマ・特撮やPV,写真集のロケ地となっており,その種の利用者はサイン色紙を書き残していくことになっているようで,アニメオタク向けに言えばKalafinaや田所あずさ等のものもあった。また,女性にはドレスやウェディングドレス貸し出しのサービスがあり,敷地内では老いも若きもドレスをまとった女性が歩いている。
 ロックハート城の所有者は石材会社であり,元々は「大理石村」というテーマパークとなる予定だったことから,石材を紹介するコーナーがあったり,ロックハート城でウェディングフォト撮影サービスがあることからウェディングドレスの博物館があったり,ロックハート城購入の発案者である故・津川雅彦氏のコレクションであったサンタ人形の博物館があったりと,ちょうど近隣の伊香保おもちゃと人形自動車博物館並にごちゃ混ぜ感のある楽しい博物館となっている。沼田市に行ったならぜひ寄りたい観光地である。群馬県中部,なぜこんなごった煮博物館が2つもあるのか。



 最後に首都圏外郭放水路。通称は「地下神殿」。中川・綾瀬川流域の埼玉県・東京都の低平地を水害から守るため,非常時にこれらの川から取水して貯水するために造成された広大な治水・防災施設である。広大な打ちっぱなしコンクリートの広場に巨大な列柱が並んでいる壮大な光景であるため,ここも様々な映像のロケ地として有名である。地上部分の博物館にはロケとして使用された作品一覧が展示されていた。
 地下神殿内は予約制で,稼働していなければ見学可能。ヘルメットが必要だが貸し出しがある。稼働してなければ……なんてめったに稼働していないだろうと思いきや,年間7・8回は稼働しているそうで,意外と多い。この施設はきっちりと首都圏の防災に役立っている。メインの貯水槽では,写真を見ると壁面の一定の高さまで色が変わっている(汚れている)ことがわかると思う。貯水時にはそのくらいの高さまで貯水されるということであり,そのくらいまではよく水が溜まるくらいには稼働していることの証左でもある。実地で見ると迫力があってよい。なお,川から水を引き込んでいるということはそれ相応に泥も流入しているということで,掃除はどうしているのかと言えば,意外にも見学者が来る狭い範囲はかなりこまめに手作業で掃除しているらしい。その他の放置しておいた範囲は年に一回重機を入れて泥を片付けているとのことで,その重機を入れるために天井の一部に穴が空いており,この穴は普段は布で塞がれている。重機の入る穴が天井に空いているなんて男の子の夢じゃないか。
 水の流入や排水に使われる立坑は深く,底に溜まっている水は光が差すので藻が生えるし(このため緑色に見える),泥とともに魚が流入するとのことである。独自の生態系が成立していそうであるが,研究はされていないだろうか。