2026年07月31日
2026年名古屋場所の感想
内容も優勝争いも濃くて楽しめた反面,両横綱も琴櫻も不安定で,安青錦はケガが心配,霧島は誰に負けるのかわからない妙な脆さがあり,その意味では心臓に悪い場所でもあった。優勝した安青錦は本当によく優勝できたという場所であるが,ケガの重い左足首をかばいながらの踏ん張らない相撲が巧みで,よくあれだけ回り込むなり何なりで相手の圧力を逃す動きができるものだ。その技能において技能賞にふさわしく,また大関復帰に十分な力量を示したと言えるだろう。
12勝で優勝決定戦まで残った霧島は前述の通り,不思議な不安定さがあって,その取りこぼしが12勝止まりで終わってしまう要因になっている。腰痛か何かが出ている日ということなのだろうか。綱取り継続は妥当ながら,やはり13勝以上と優勝の両方が必要で,来場所こそは壁を破る必要がある。それで言うと安青錦は3回も優勝していながら,全て12勝での優勝で,13勝に壁があるのはこちらも同じである。安青錦の場合は苦手力士が明確で,取りこぼしているというよりもわかりやすく落としている。どちらの方が先にそれを克服できるのかはわからない。「大関までは実力,横綱は運命」という格言通りなら,安青錦の方が運命に導かれている様子がある。
個別評。横綱・大関陣。豊昇龍はケガを隠しながらの奮闘だったが明らかに馬力不足であった。休場のタイミングは正直に言って悪い。あれなら千秋楽まで取るか,もっと早い段階で休場に踏み切ってほしい。あそこで霧島が不戦勝になるのは,霧島に綱取りがかかっていただけに霧島にも迷惑であろう。大の里は以前のような強い取り口と迷走中の弱い取り口の日がばらばらに現れて,復調傾向ではあるにせよまだ完全ではない。意外と復調に時間がかかっている。やはり左からのおっつけが出るかどうかが見分けるポイントだろうか。日毎に実力が変わるのは琴櫻も同じで,こちらも相撲振りが迷走している。実は膝に爆弾があると言われてもあまり驚かない。霧島は前述の通り。
関脇・小結。安青錦は前述の通り。熱海富士はここ3場所続く急成長で,鈍重な動きをする日が減ってきた。立ち合いが強くなり,当たってからの攻めも早いので,遅さを突かれて負けることが少なくなり,回り込まれる前に一気に倒してしまう。大の里よりも機敏さは足りないが,引くことがなく,より攻めに特化していたのが今場所12勝できた要因だろう。先場所が9勝なので計21勝。来場所も12勝なら大関は確実であるが,10勝か11勝で九州場所で勝負というのが実際のところではないか。若隆景は右太もものケガで全休だが,最悪右足の切断もあり得た大ケガだったようだ。復帰は早くて九州場所とのこと。初報では全然そのような大ケガとは聞いていなかったので驚いた。琴勝峰はこのくらいだろう。関脇で勝ち越せなくても大負けはしないのは地力がついた証拠だと思う。やはりパワーは上位でも通用しているがスピードが少し足りない。義ノ富士はやや残念な出来。技能はあるのだが,幕内上位にしては体幹が悪く,組めないと変な倒れ方をする印象。王鵬はよくわからない大敗。ケガがあるなら早く治ってほしい。
前頭上位……は意外と言及するところがない。最近は割と顔ぶれが固定されているだろうか。前頭中盤。きれいな四股で話題先行気味だった琴栄峰だが,今場所は覚醒していた。スピードがあって動きが良く,足腰が強くて幕内中盤では十分に戦えていた。あとは上位で通用するかどうか。一方,若元春はこの地位で負け越し,左四つになってさえ勝てない相撲もあって心配である。藤凌駕は地元愛知県出身,しかも名古屋に近い春日井市ということで大声援を浴びていた。パワーがあって腰が重く,突き押しでは「押し」の方が強い。やや鈍重なところがあるものの,これだけ重ければ仕方がなく,相手を正面に置いているうちはかなり攻めが強い。彼も上位と当たった時にどうなるか見たい力士である。朝乃山は地位の割に大勝できず9勝止まり。春場所の感想でも全く同じことを書いているが,朝乃山は四つになったら浅くても攻めてしまう悪癖が本当に治らない。それで何度足が流れて負けていることか。もう少し落ち着いて,ちゃんと捕まえてから寄ってほしい。
前頭下位。若ノ勝は気風の良い相撲をとっていたが,六日目の相撲で右足をケガして休場となった。残念であるが,ケガが治ればすぐに幕内に戻ってくるのではないか。御嶽海は休場した方が良かった出来。明らかにケガがあったと思われるが,出場を続けたのは意地だろうか。尊富士は,前頭中盤くらいまでの地位なら立ち合いだけで圧倒できていて,出足の強さがかなり戻ってきた。しかし,上位には通用しておらず,出足が止まると一気に弱体化する。新入幕だった一意は明確に地力不足で,腰は重いがほとんどそれだけであった。もう少し攻める力が欲しい。大青山もあまり見どころ無く終わってしまい,出直しである。
12勝で優勝決定戦まで残った霧島は前述の通り,不思議な不安定さがあって,その取りこぼしが12勝止まりで終わってしまう要因になっている。腰痛か何かが出ている日ということなのだろうか。綱取り継続は妥当ながら,やはり13勝以上と優勝の両方が必要で,来場所こそは壁を破る必要がある。それで言うと安青錦は3回も優勝していながら,全て12勝での優勝で,13勝に壁があるのはこちらも同じである。安青錦の場合は苦手力士が明確で,取りこぼしているというよりもわかりやすく落としている。どちらの方が先にそれを克服できるのかはわからない。「大関までは実力,横綱は運命」という格言通りなら,安青錦の方が運命に導かれている様子がある。
個別評。横綱・大関陣。豊昇龍はケガを隠しながらの奮闘だったが明らかに馬力不足であった。休場のタイミングは正直に言って悪い。あれなら千秋楽まで取るか,もっと早い段階で休場に踏み切ってほしい。あそこで霧島が不戦勝になるのは,霧島に綱取りがかかっていただけに霧島にも迷惑であろう。大の里は以前のような強い取り口と迷走中の弱い取り口の日がばらばらに現れて,復調傾向ではあるにせよまだ完全ではない。意外と復調に時間がかかっている。やはり左からのおっつけが出るかどうかが見分けるポイントだろうか。日毎に実力が変わるのは琴櫻も同じで,こちらも相撲振りが迷走している。実は膝に爆弾があると言われてもあまり驚かない。霧島は前述の通り。
関脇・小結。安青錦は前述の通り。熱海富士はここ3場所続く急成長で,鈍重な動きをする日が減ってきた。立ち合いが強くなり,当たってからの攻めも早いので,遅さを突かれて負けることが少なくなり,回り込まれる前に一気に倒してしまう。大の里よりも機敏さは足りないが,引くことがなく,より攻めに特化していたのが今場所12勝できた要因だろう。先場所が9勝なので計21勝。来場所も12勝なら大関は確実であるが,10勝か11勝で九州場所で勝負というのが実際のところではないか。若隆景は右太もものケガで全休だが,最悪右足の切断もあり得た大ケガだったようだ。復帰は早くて九州場所とのこと。初報では全然そのような大ケガとは聞いていなかったので驚いた。琴勝峰はこのくらいだろう。関脇で勝ち越せなくても大負けはしないのは地力がついた証拠だと思う。やはりパワーは上位でも通用しているがスピードが少し足りない。義ノ富士はやや残念な出来。技能はあるのだが,幕内上位にしては体幹が悪く,組めないと変な倒れ方をする印象。王鵬はよくわからない大敗。ケガがあるなら早く治ってほしい。
前頭上位……は意外と言及するところがない。最近は割と顔ぶれが固定されているだろうか。前頭中盤。きれいな四股で話題先行気味だった琴栄峰だが,今場所は覚醒していた。スピードがあって動きが良く,足腰が強くて幕内中盤では十分に戦えていた。あとは上位で通用するかどうか。一方,若元春はこの地位で負け越し,左四つになってさえ勝てない相撲もあって心配である。藤凌駕は地元愛知県出身,しかも名古屋に近い春日井市ということで大声援を浴びていた。パワーがあって腰が重く,突き押しでは「押し」の方が強い。やや鈍重なところがあるものの,これだけ重ければ仕方がなく,相手を正面に置いているうちはかなり攻めが強い。彼も上位と当たった時にどうなるか見たい力士である。朝乃山は地位の割に大勝できず9勝止まり。春場所の感想でも全く同じことを書いているが,朝乃山は四つになったら浅くても攻めてしまう悪癖が本当に治らない。それで何度足が流れて負けていることか。もう少し落ち着いて,ちゃんと捕まえてから寄ってほしい。
前頭下位。若ノ勝は気風の良い相撲をとっていたが,六日目の相撲で右足をケガして休場となった。残念であるが,ケガが治ればすぐに幕内に戻ってくるのではないか。御嶽海は休場した方が良かった出来。明らかにケガがあったと思われるが,出場を続けたのは意地だろうか。尊富士は,前頭中盤くらいまでの地位なら立ち合いだけで圧倒できていて,出足の強さがかなり戻ってきた。しかし,上位には通用しておらず,出足が止まると一気に弱体化する。新入幕だった一意は明確に地力不足で,腰は重いがほとんどそれだけであった。もう少し攻める力が欲しい。大青山もあまり見どころ無く終わってしまい,出直しである。
予想番付が割と組みやすい場所だったと思う。番付運が良い人・悪い人があまり出なさそうだが,藤凌駕はかなり番付が上の方まで上がりそう。十両から上がってくるのは時疾風,朝翠龍,寿之富士,湘南乃海で,出羽ノ龍はかなり不運な昇進ならずとなりそう。十両に下がるのは大青山,一意,阿武剋,御嶽海。
Posted by dg_law at 00:10│Comments(3)
この記事へのコメント
更新お疲れさまです。
霧島。序盤に押しに敗れ、中盤に前に落ち、終盤に攻め急いで敗戦という点では、先場所の再現のような12勝3敗。勝った相撲は安定感がある分、歯がゆいですね。
安青錦。足の負傷もあり、攻め込まれると防戦一方になるも、廻しを掴んでしまえば、なんとか処理可能という形。隆の勝戦で落とさなかったのは大きく、天運にも恵まれていた印象。一気に綱取りかというと、まだ微妙な点も多く、足の負傷も気になりますし、苦手力士(大の里、義ノ富士、琴勝峰、あとは大栄翔、隆の勝も怖いでしょう)の存在も気がかり。13勝以上の壁を破れないのもわかるのです(12勝でも2場所連続優勝なら昇進させそうですが)貴景勝と被る点があり、体格面の脆さを精神面の強さでカバーしていることや、対処方法はわかっても実践できるかは別問題という所も。
熱海富士は初場所から体格面をうまく使えるようになり、四つ相撲では相手の技術面がよほど秀でていない限り、落とさないでしょう。攻めあぐねると、謎に慌てだす癖さえ直せれば、大関、優勝も一気に見えてきそうです。(ベテランの押し相撲2人に負けているのが結構面白い)
その他。大栄翔は馬力は落ちながらもそれとうまく付き合う術を見つけたのか10勝と活躍。後半は調子もあがっていた印象。豊昇龍は、中盤までは慎重にとってはいましたが、後半は息切れ、大の里共々、1場所だけなら「まーこんなこともあるよ」という所ではあるのですが、さすがに心象は悪いか。大の里は、過去にもクンロクで終わった場所もいくつかあるので、今回も同じような谷間の場所なのかどうかは来場所を見てみないと判断しづらいかなと(連勝スタートなら、割と違ってたと思うんだよなぁ)
霧島。序盤に押しに敗れ、中盤に前に落ち、終盤に攻め急いで敗戦という点では、先場所の再現のような12勝3敗。勝った相撲は安定感がある分、歯がゆいですね。
安青錦。足の負傷もあり、攻め込まれると防戦一方になるも、廻しを掴んでしまえば、なんとか処理可能という形。隆の勝戦で落とさなかったのは大きく、天運にも恵まれていた印象。一気に綱取りかというと、まだ微妙な点も多く、足の負傷も気になりますし、苦手力士(大の里、義ノ富士、琴勝峰、あとは大栄翔、隆の勝も怖いでしょう)の存在も気がかり。13勝以上の壁を破れないのもわかるのです(12勝でも2場所連続優勝なら昇進させそうですが)貴景勝と被る点があり、体格面の脆さを精神面の強さでカバーしていることや、対処方法はわかっても実践できるかは別問題という所も。
熱海富士は初場所から体格面をうまく使えるようになり、四つ相撲では相手の技術面がよほど秀でていない限り、落とさないでしょう。攻めあぐねると、謎に慌てだす癖さえ直せれば、大関、優勝も一気に見えてきそうです。(ベテランの押し相撲2人に負けているのが結構面白い)
その他。大栄翔は馬力は落ちながらもそれとうまく付き合う術を見つけたのか10勝と活躍。後半は調子もあがっていた印象。豊昇龍は、中盤までは慎重にとってはいましたが、後半は息切れ、大の里共々、1場所だけなら「まーこんなこともあるよ」という所ではあるのですが、さすがに心象は悪いか。大の里は、過去にもクンロクで終わった場所もいくつかあるので、今回も同じような谷間の場所なのかどうかは来場所を見てみないと判断しづらいかなと(連勝スタートなら、割と違ってたと思うんだよなぁ)
Posted by gallery at 2026年07月31日 11:52
安青錦が強かったのか、足首の怪我を誰も攻めないのが甘いのか。優勝に届いたのは意外でした。10勝目の豪の山戦、髷の件で物言いも付かなかったのは不思議です。両横綱がまたしても不甲斐ないのもありましたが、琴櫻はよくカド番を脱出できたものです。熱海富士は今場所は強かったですね、この強さが安定すると良いのですが、まだ分かりません。
正代や御嶽海、阿炎が勝てなくなってきて、世代交代が着々と進んでる感じです。各段優勝の顔ぶれに末頼もしい若手が何人もいて、先々が楽しみです。しかしながら、玉鷲は勝ち越してまだ元気。炎鵬もかろうじて勝ち越しましたが、幕内復帰までいけるかどうか。腕を逆にねじ上げられた一番は怪我をしたかと思いました。
正代や御嶽海、阿炎が勝てなくなってきて、世代交代が着々と進んでる感じです。各段優勝の顔ぶれに末頼もしい若手が何人もいて、先々が楽しみです。しかしながら、玉鷲は勝ち越してまだ元気。炎鵬もかろうじて勝ち越しましたが、幕内復帰までいけるかどうか。腕を逆にねじ上げられた一番は怪我をしたかと思いました。
Posted by EN at 2026年08月01日 23:40
コメントありがとうございます&返事が遅れてすみません。
>galleryさん
安青錦の綱取りは意外と遠くなりそうですよね。本文にも書きましたが13勝をまだ一度も達成していないですし,今回のケガの治療が順調に進むかも怪しいです。完全な2場所連続優勝だと星数にかかわらず昇進させそうですが,揉めそうですね。
熱海富士はまだ進化しそうですね。これからも体格の活かし方は磨かれていそうな感じがします。
大栄翔はおっしゃる通りで,ちょっと相撲振りが変わってきましたね。押し相撲のパターンが変わっている。これから若手の壁になっていくのでしょう。
>ENさん
記事本文に書きましたが,足首のケガを攻める余裕なく安青錦が素早く相撲を取っていた印象です。それでも優勝に届いたのは皆驚いていると思います。
琴櫻は地力はあるのだろうと思います。日毎の出来が違いすぎて安定しませんが。
世代交代,進んでますね。御嶽海がとうとうこの地位で勝ち越せなかったのを見て強くそれを感じました。旭富士等,楽しみな若手は多いですね。
>galleryさん
安青錦の綱取りは意外と遠くなりそうですよね。本文にも書きましたが13勝をまだ一度も達成していないですし,今回のケガの治療が順調に進むかも怪しいです。完全な2場所連続優勝だと星数にかかわらず昇進させそうですが,揉めそうですね。
熱海富士はまだ進化しそうですね。これからも体格の活かし方は磨かれていそうな感じがします。
大栄翔はおっしゃる通りで,ちょっと相撲振りが変わってきましたね。押し相撲のパターンが変わっている。これから若手の壁になっていくのでしょう。
>ENさん
記事本文に書きましたが,足首のケガを攻める余裕なく安青錦が素早く相撲を取っていた印象です。それでも優勝に届いたのは皆驚いていると思います。
琴櫻は地力はあるのだろうと思います。日毎の出来が違いすぎて安定しませんが。
世代交代,進んでますね。御嶽海がとうとうこの地位で勝ち越せなかったのを見て強くそれを感じました。旭富士等,楽しみな若手は多いですね。
Posted by DG-Law at 2026年08月12日 01:25