いいんですよ、クリスマスイヴだから奇蹟の一つや二つくらい起きる。
PULLTOP藤原々々ラインのゲーム。そしてその系譜を見事に受け継いでいる。雰囲気の良さもキャラの良さも、そしてシナリオのテーマさえも。絵も音楽もクオリティが高く安定している。また、シナリオがちょっと中だるみするという受け継がなくていい欠点まで受け継いでいる。逆に主人公像は新しい。『かにしの』の本校編は根本的に違うので例外中の例外としても、その他を見渡してもちょっといないタイプのような気がする(一部ルートでは草津拓也化するが)。まっすぐだけどおバカすぎず賢すぎず、仕事(と酒)への情熱を持った青年。けっこう真っ当にかっこいい。
個人的な感想としては、シナリオの出来としてななみ>きらら>硯>りりか。
ななみルートは09年エロゲー史に残してもいいくらい出来が良い。なぜ当時もっと騒がれなかったのだろうと思うくらい。PULLTOP信者の間でしか話題にならなかったせいで見えなかった、とかそういうことなのだろうか。キャラの好みとしては、硯に尽きる。ただの「人見知り系清純派」のキャラで終わらせず、なかなか起伏のあるキャラとして描けていたのが実に良かった。よだれかわいいよよだれ。その他、個別ルートに関してはネタバレなしには書けない部分が多いので、格納後に。
クリア後、ざっと他人のレビューを読んで思ったのは、確かにサンタ専門用語をあえて説明せずにシナリオを突っ切ったのは英断だったが、英断すぎて「わかんねーよ」「これって深く考えたら負けってことだよね」というレビューが非常に多かった。いやいや、ちゃんと設定されてるんですよ、あえて説明してないだけで
)(元ネタ集(1)参照のこと)。これだけ反発を食らうなら、共通ルートで説明すべきだっただろうな、とはいろんなレビュー読み終わってから思った。
『かにしの』とほぼ同様の出来として、87点。世間的な評価はここからもう5点ほど低いようだが、前述の通り「サンタのシステムがわからなかったから深く読むことを放棄した結果」だとしたら、それは悲しいことである。なお、中だるみと書いたが眠くなるほどのものでもないので、そこはご安心願いたい。しかし、長いことは間違いなく、共通で4時間ほど、個別も1ルート5〜6時間は優にかかるので、じっくり読んでコンプしようとすると20時間は軽く越えるだろう。実は『うみねこ』EP6を除けば、85点を超える点数を付けたのは08年の夏にプレイした『ジャンゴ』『キラキラ』以来で1年7ヵ月振りということが発覚した。ここ2年はけっこう割と大当たりを引いてなかったということにさっき気付いた。
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