2008年01月31日

『FORTUNE ARTERIAL』レビュー

最後になんという隠し玉を用意してくるのだ……! オーガスト…………!!!


というわけでFAクリアした。普通におもしろかった良作、と最初に言っておこう。プレイ時間はだらだらとやって20時間くらい。ネタばれ的に当たり障りの無い総評をしておくと、相変わらず諸分野において高水準を保っていたし、Hシーンも濃かったし満足した。どのシナリオにも言えることだが、バカップル自重しろ。ニヤニヤしすぎで死ぬかと思った。顔面筋が戻らなくなるくらいニヤニヤした。今回目を見張ったのは演出の強化だ。今まで高水準ながらどこかバラバラ感のあった立ち絵や背景、BGMをうまくつなげて活かすように組んであったように思う。ヴォーカル曲も申し分ない。Liaが出てきたときは少々驚いたが。

あと、さりげなく今回主人公かっこいい。かっこよければいいってもんでもないのは確かだが、周囲が有能で根回しが早いこともあってさくさくシナリオが進んでいくのは好印象だった。今までのオーガストの主人公は皆空気だったので、これは大きな方針転換かも。その他、男キャラが皆かっこよかった。『リトバス』然り、これはこういう風潮なのか。TRUEルートの征一郎と伊織のかっこよさは異常。

しかし、思いもよらぬ欠点もあった。それは生命線でもあるべっかんこうのCG。なぜかHシーンに限ってパースが崩れているのが少しだけあるのはなぜだ。使えなくほど気になるレベルではなかったが。あとCGの枚数自体がやや少なかった。『明け瑠璃』に比べて非HシーンのCGが明らかに減っているのが気になる。あと、テキストにおいて今まではそこまで気にならなかった、榊原拓とそれ以外のライターの違いが今回は顕著だった。できれば統一してもらいたい。せめて用語は。パンツとパンティーが使い分けなく混在しているのはさすがに……

シナリオに関して一つ思ったことがある。同じような吸血鬼の設定を持ち、同じようなテーマを掲げたシナリオを用意した三つの吸血鬼系作品、『FA』と『彼女たちの流儀』、『MinDeadBlood』はそれぞれ比較してみることで、浮かび上がってくるものがあるのではないかと。


以下、個別ルート及び解題。ネタばれ有。
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2007年10月28日

エロゲ私的傑作選(2)

説明が長くなったので分割。やはり「知る人ぞ知る」よりは信者もアンチも多いゲームのほうが説明責任が大きいなと思う。その意味で、前回よりもプレッシャーあるわ。


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2007年10月27日

エロゲ私的傑作選(1)

好評だった企画の二匹目のドジョウ、というわけではないが、前回作ったエロゲ名作選?にはあまりに広まりすぎたがゆえの誤解が多く、また自分としてもこれが絶対の基準ではないことを示すために、もう一つリストを作る必要性を割とずっと考えていた。簡単に言えば、前回のリストというのは「エロゲらしさ」「マイナーさ」にこだわったものであって、真なる意味で「傑作選」ではなく「名作選」であったのだ。

ここまで書けば今回のリストは何をやりたいのか目的がはっきりしてくると思うが、ずばり「ADV形式のPCゲーム、いわゆるエロゲ(ノベルゲー)」ということ以外に何の制限を加えず、主観的に「これは芸術作品」(※)と感じた作品を列挙してみたい。それによってエロゲ名作選?で生じた誤解を解くとともに、私のアイデンティティの発露としたい。前回のリストは出てくるゲームが人によっては必ずしも名作とは言えないものもあったので最後に「?」をつけたが、今回は逆に傑作であっても漏れているものも当然あるので、「?」をとって代わりに「私的」をつけることにした。

要は、前回のリストは「エロゲマでやるエロゲが無いと思ったらこれを推薦しておく」and「これらが好きなら、管理人と趣味が似てるから今度語り合おうぜ」という目的だったのに対し、今回は「メジャー作品も含めて俺が好きなのは絶対評価的にこんなランキング」という確認のリストってことで推薦リストですらない。だって、皆プレイ済みでしょ。

ゆえに、名作選と重なっているものが多い一方で、名作選のときには条件で省かれたものも多い。番号ははっきりとはしていないものの、おおよその順位。ただし、一部区間を除いてほとんど差が無いのであまり気にしないでほしい。また、名作選のほうの番号は単なる番号に過ぎないので、ご注意願いたい。

名作選を作ったときに「条件から省いた大作と、その関連作品を加えれば50くらいになるはず」と書いた。今回のリストは15作品しか挙げていないが、関連作品が多いので、名作選とあわせるとやはり50くらいになると思う。


※ 最近、「Fateは文学(笑)AIRは芸術(笑)CLANNADは人生(笑)」というテンプレがはやっているが、(笑)をつけて斜に構えてる(まあそれが特にニュー速の文化なんだけど)ほうがよほど阿呆であることは言うまでも無い。まあ、Fateが文学というのはどうかと思う、Fateという作品の質の問題では無く、文学という言葉の定義として。その意味で、このテンプレと同時によく見かける「Fateが文学なら、絵・音抜きで読んでみろよw」という揶揄に関しては、この揶揄のほうが100%正しい。私が言う芸術の定義や、このテンプレがいかにナンセンスであるかについては、このブログのカテゴリCriticismを古いほうから6/27くらいまで読んでいただければ、わかるかと。  続きを読む
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2007年09月19日

思い出して、くれますか?

ニコニコでとらハ関連の動画を偶然発掘してしまって、そこからタグでいろいろ見てしまった。懐かしさでマジ泣きしてしまった。お前、あの下手くそな風に負けないハートのかたちは反則だってば……以下、98%の読者は置いてきぼりの話。

というか、そもそも今現在とらハ好きってどのくらいいるのだろうか。現役のエロゲヲタに限れば、相当数が減ってしまったんじゃないか、この間の同人の流行から考えても。とらハも、自分がまだ全然存在しなかったような時代のコミケならそこそこの規模を誇っていたはずだと思う。元々1桁だったとは考えづらい。



自分がとらハを知ったのは大学1年の秋頃だった。最初の動機はI'veが聞きたいだけだったが、とらハ3の美由希ルートをクリアして考えを改めた。この作品は古典とされるだけはある、と。そこでとらハ1をインストールしたのが運の尽きというか、綺堂さくらに出会ったことが人生の転機というか。後はのめりこむように、1・2・3・FD×2と駆け足でクリアした。

とらハ1は「優しい恋は、好きですか」という謳い文句の割に、バッドエンドで陵辱があったり、タイトル通りの三角関係を再現しようとしたりと、割と作りかけ感が溢れていた。ファンブックで都築さんもそこら辺を弁解していて、それはそれでおもしろかったり。とりあえず御剣の登校シーンのせいで開始3分でお茶吹いたことも、今となっては良い思い出である。

当然さくらは俺の嫁。DVD版の追加シナリオで原画がかっちんに変わって俺歓喜。鳥居花音は名演技が多いけど、今でもさくら以上の名演技は無いと思っている。スプリングフィールド七瀬さんとか、小鳥も大好き。今と方向性があんまり変わってない。あ、でも当時は中国要らない子だと思ってました。3のOVA等で大役を与えられて重役になってましたね、こうして見るとけっこうありかも&ごめんなさい。

とらハ2も「まんまラブひなやんw」と、開始3分で吹いた。すっかり都築マジックにかかっている。「一緒に暮らして、くれますか」のキャッチフレーズの通り、あの「住んでる」感はマジでマジック。どうやったらあんな空気出せるんだろうね、他のエロゲには無い。

実はとらハ2であんまりキャラ萌えはしなかったけど、一番を挙げるなら愛さん。影が薄いとか言われてるけど、あのマイペースさはとらハシリーズのリズムだと思う。あと、やはりちかぼーとゆうひはガチ。ちかぼーはみずいろの雪希、DCの音夢等と並ぶ最強妹の一人だと思うのだが、いかんせん知名度が足りてない。ゆうひは、リアルであんな女友達欲しい。Nameless Melodiesは涙腺直接攻撃すぎて卑怯。

とらハ3は神ゲー。へたくそな主題歌もとらハっぽいけど、I'veのうまさも捨てがたい。「守りたいもの、ありますか。」の通り、バトルモノ一直線で、この戦闘民族高町家(不破家)が後にリリカルなのはを生んだんだなあと思う。ちょっぴり物悲しくて、でも基本的には優しくて。そんなとらハの世界観は、とらハ3からリリカルなのはへ、きちんと受け継がれている。君がいた季節とSee youは涙腺決壊攻撃です。

キャラとしては、忍はどう考えても俺の嫁。あと、意外かもしれないけど美由希は大好き、特に眼鏡外してからは。とらハ(&リリカルなのは)世界で戦闘力最強は美由希だと今でも思ってる。でも蓮も那美もノエルも捨てがたいし、久遠は是非リリカルなのはでも出してほしかった。まああの狐は万能すぎるんだが。とらハ3は嫁多すぎて困る。フィアッセは……ベルダンディーにしか見えませんでしたごめんなさい。

なのはのCVはリリカルなのは1期の頃はむちゃくちゃ違和感あったけど、A'sからは逆に田村じゃないと不自然かなあと思い始めた自分がいる。あと、スバルって晶だろ?wディバインバスターは吼破。異論は認めない。


リリカルなのはのとらハ世界だって、山奥に行けば九尾の狐がいて、おっちょこちょいな巫女さんがいる神社があって、麓にはさわがしい女子寮があって、そこには天然な獣医がいて、テレビをつければななかがテレビレポーターをやっていて、海自ではちかぼーががんばっていると、今でもそう思っている。とらいあんぐるハートよ、永遠に。



それで、夜の一族の血を引いて父親から御神二刀流を習得した、魔法少女リリカルしずくはまだですか?  
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2007年09月01日

うみねこのなく頃にEpisode1

以下はクリア前に読んでもあまり差し支えない程度のネタばれ。「続き」以降は完全ネタばれ。どこまで読むかは自己責任で。


推理小説であるにもかかわらず、ノックスの十戒をことごとく破ったことでさまざまな物議をかもしだした『ひぐらしのなく頃に』の作者による、第二の推理小説が誕生した。前回、何のヒントもなしにノックスの十戒を破ったことに対し批判が続出したので、今回は冒頭のオープニングムービーをよく見ると流れてくる英語に"No Knox"とあり、そのような批判を先に回避している。(まあ、あの英文に気づかなければそこまでだけど)

だが、これは巧妙な罠かもしれない。確かに、『ひぐらし』はノックスがいなかった(ネタばれになるので詳しいことは書けないが)。だがその根源的な理由は『ひぐらし』が犯人探しの推理小説ではなくて、「まず何を推理すればいいのか」から推理が始まる小説であったこと。このことがノックスを無視させまくっている理由になっていた。そこへ行くと『うみねこ』は随分わかりやすい。最初から犯人はわかっているし、推理すべきものも判明している。しかし、その推理すべきものこそが「ノックスは守られているのか破られているのか」そのものだから、とんでもなく性質が悪い。

もう一つ、この小説の具体的な読解に入る前に注目したい言葉がある。前作では主人公が追い詰められるとしばしば「KOOLになれ」とつぶやいていたが、今作では「チェス盤をひっくり返せ」だ。より一般的に言い換えると「敵の立場に立って考えろ」ということになる。

しかし前作でKOOLになったキャラは大方失敗しているように(なぜ失敗しているのかは『ひぐらし』の根幹的なネタばれになるので割愛)、今作でもチェス盤をひっくり返すとろくでもないことになることは容易に想像が付く。「チェス盤をひっくり返す」ことにおける大前提は相手も自分と同じ思考回路/行動原則を持っていることだ。仮にノックスが守られていないとすれば、相手は人間ではない可能性も高い。とすれば、行動原則は人間通りにはいかない。

むしろ「チェス盤をひっくり返す」ことの真価は、著者の竜騎士氏の立場に立って考えたとき、なのではないだろうか。前作『ひぐらし』では処女作ということもあり竜騎士氏の思考が全く読めなかったし、ノックス云々も意識せず皆推理していて、迷宮入りしていった。今回は違う。誰しもの頭にはひぐらしの洗礼(先例)があり、「同じチェス盤」の上で闘うことができる。


さあ、推理を始めようか。
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2007年08月10日

リトルバスターズ!

今までの鍵作品と異なっているところも多ければ、踏襲しているところもまた多い作品であった。

まず共通点といえば、悲劇&奇跡システムの存在だろう。鍵作品は悲劇と奇跡の安売りとしばしば揶揄されるがそれは間違いで、ゲーム内で奇跡が起きる条件が必ずルールが設定されており、そのルールを主人公が解いていくのが鍵のストーリーの作り方である(まるでひぐらしの謎解きのようだが、竜騎士は葉鍵っ子なので参考にしているのだろう)。

そしてまた、ひぐらしではそのルールを打ち破る方法が(ネタばれにつき伏字)仲間を信じる力であったように、鍵作品においては奇跡を起こす根本の力とは「悲劇に耐えうる心の強さ」なのだ。ゆえに悲劇が起きなければそもそも奇跡も起きない。そしてその悲劇はかならず「不条理」である、というのも鍵作品に共通する明確なルールである。これらのルールはリトバスにおいても受け継がれている。

そしてAIR以降の共通点として独特の物語構成がある。複数ヒロインを配置しつつも、1人中心となるメインヒロインを立てておく。まずゲームが始まると個別ルートとして、メインヒロインを含めたヒロインを全員攻略させる。そうしてその世界の奇跡システムに関する伏線が随所に張られていることにプレイヤーに気づかせたら、最後に伏線回収&泣かせどころとしてメインヒロインの真ルートを持ってきて、グランドエンド、という構成だ。これもリトバスにも共通している。知らずに最初に鈴ルートを攻略してしまうと、別の意味で泣きを見るだろう。

ギャグのおもしろさも重要な共通点だろう。前半にあれだけ笑いが取れるからこそ、後半の落差が大きい。ギャグの作り方も特にクラナド以降は定式化されつつあり、必ず笑えるという安心感がある。いまだにクラナドは私の中で死ぬほど笑ったゲームトップ3に入っており(後2つは『それ散る』と『つよきす』)、リトバスも智代アフターもそれに次ぐおもしろさだった。

逆にリトバスと今までの作品の相違点というと、まず麻枝が個別ルートの完全複数ライター制を採用したことだろう。確かにKanonは久弥との合作だったし、AIRでは美凪が魁だったし、クラナドはかなり分業していたものの、麻枝が一番数をこなしていたことには違いなかった。今作ではとうとう個別ルートはメインヒロインであり真ルートが用意されている鈴しか担当しておらず、残り5人は別のライターである。ゆえに、個別ルートのおもしろさにばらつきが出てしまったのだが……

もう一つはミニゲームを採用したことだろう。あまりこういった類のミニゲームが入るは好きではないのだが、それでも野球もランキングバトルもおもしろかった。野球は相手チームを完封するまでやりこんでしまった。


で、結局おもしろかったかと聞かれれば、「おもしろかったけど、クラナドやAIRと比べると……」と言わざるを得ない。前半のギャグと真ルートは文句の付け所が無いのだが、個別ルートの分業制が致命的な欠点になってしまった。点数にすると『かにしの』と同レベルくらい、すなわち85点前後といったところだろう。それでも、クラナドがおもしろいと思えた人には必ずおもしろいと思える作品だとは思うので、気になる人はチェックしてみてほしい。


以下、ネタばれ考察。今後一生リトバスをやる予定の無い人か、リトバスコンプした人のみ推奨。


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2007年07月07日

エロゲ名作選?

以前世界美術50選に文句を付けたときに、ta-kiにエロゲ版でも作れと言われたので作ってみた。しかしその際、その前提条件を設定するのに大変苦労した。最初は世間的な知名度とか評価の高さとかも考慮しようかと考えたが、その基準で50選作ると大変つまらないものが出来た。その上そもそも私はバルドフォースや戦国ランスなど、少しでも小説以外の要素が入ったものはプレイしていない。ゆえにこの基準では極めて偏りのあるものができてしまう。

ではいっそのこと、と趣味に走ったリストを作ることにした。その後もいろいろ悩んだ挙句、前提条件はいかのように設定することにする。


・葉鍵型月ロミオ丸戸ageひぐらし等の人気作品は排除。
・なるべく「エロゲらしさ」がテーマになっているようなゲーム。むしろその「エロゲらしさ」のせいで、他ジャンルに嫌悪されるようなエロゲ。
・非ヲタはおろか、他ジャンルのヲタも割とおいてけぼり。
・むしろ対象はエロゲ初心者から中級者。上級者への駆け上がり用か。
・非エロゲも一部アリ。


その結果20作品まで絞ることができた。これにFDとか周辺作品を入れたら30くらいになるだろうし、そこにメジャー作品を入れればちょうど50くらいになるのではないだろうか。それで50選ということにしておきたい。


1、智代アフター(KEY)
クラナドのFDながら、終盤の超展開ゆえに敬遠されがちなゲーム。だがちょっと待ってほしい。Kanon、AIR、CLANNADだけではまだ鍵ゲー特有の「残酷さ」が足りないのだ。短いが表現はストレート。その分解釈は難しいかもしれない(Kanon>CLANNAD>>MOON>智代アフター>AIR>ONEだと思う)。

2、MOON.(Tactics, KEY)
鍵の事実上の処女作(『同棲』は除く)。今の鍵からは考えられないエグさを誇る、元祖鬱ゲー。宗教を表立ったテーマに据え、陰惨な描写が続く。だが私はけして彼らが、売れるために陵辱色を強くしたとは思えない。まだ不器用で、鍵特有のテーマを伝えるには学園モノじゃ生ぬるいと判断したのではないか。その結果がONEだったのではないだろうか。そんな風に思うのである。なお、いたるの描く陵辱絵は意外とエロいので、そこにも注目か。


3、螺旋回廊1&2(ruf, age)
これも実は『MOON』と同様の理由でこのリストに入れた。とは言ってもageプレイヤーなら陰惨な描写でもどんと来いという感じではあるだろうが。他のage作品をプレイしてからこのゲームをやると、ageの原型が透けて見えておもしろい。

4、Phantom(Nitro+)
超有名じゃないかと言われればそれまでだが、その割に騒がれることの少ない作品。一般人にもお勧めという賞賛の言葉がこのゲームには常に送られている。ハードボイルドがエロゲとの親和性が高いことを証明した、偉大なる作品。

5、沙耶の唄(Nitro+)
これもエロゲ界隈では超有名作品だが、やはり名前がなかなか出てこない。純愛とは何だろうか、認識とは何だろうか、狂気とは何だろうか。ゲームは短いが深遠なテーマがここにはある。

6、サナララ(ねこねこソフト)
ねこねこソフトから一作。解散によりある種の伝説となったこのメーカーから何も上げないわけには行くまい。そう考えたときに、マイナー具合と評価の高さのギャップから行ってこれしかないだろう。ねこねこ作品では異色の原画を使ってはいるがやはり雰囲気はねこらしいものに仕上がっている。完成度はねこ作品随一だと思う。そしてこのゲームは片岡ともの跡継ぎ、すばらしいライター木緒なちが誕生した瞬間でもあった。

7、とらいあんぐるハート3(ivory, 都築真紀)
これも歴史的な古典として。今をときめく「なのは」はここから始まった。都築氏の独特の世界観は、とらハ1、2から全く変わっていない。3をやって気に入ったなら、ぜひ1と2もやってみてほしい。シナリオに起伏はあまり無いが、雰囲気がすばらしい。「泣けるとか、感動できるとか、萌えるとか、大作であるとか、傑作であるとかではない。ただただ、ずっとこの空気が続いて欲しいと思った、そんなシリーズだった。」という、エロゲ批評空間の有名なレビューをそのまま引用しておきたい。


8、わんことくらそう(ivory, 都築真紀)
とてもなのは1期と2期の間に出したとは思えないエロゲ。一見単なる獣耳ゲーなのだが、よくよく読んでいくと全くそんなことは無く、世界の裏側が見えれば見えるほど気分が悪くなっていくことだろう。実に都築氏の意地悪な一面が垣間見える作品だが、一方で都築氏のテーマは全くぶれていない。

9、遥かに仰ぎ、麗しの(PULL TOP)
別の記事で散々語ったのでそっちで。実にエロゲらしいエロゲであった。


10、はるのあしおと(minori)
現在の職業がNEETか、過去に失恋した経験のある人がやると実に自殺したくなるゲーム。かく言う自分も軽く死にたくなった。そういう意味では最強の鬱ゲーかもしれない。映画『秒速5センチメートル』とあわせてどうぞ。極めて秀逸なレビューがここにあるので、クリアした人は読んでみるといいと思う。

11、水月(F&C)
一見無駄に難しいだけの、衒学的なシナリオに仕上がっているが、それがわざとなのか偶然なのかは知らないが、その衒学性が逆にゲームの幻想的な雰囲気を作り出すことに成功している稀有なゲーム。あの雰囲気は一度味わう価値があるだろう。主人公は極めてダメ人間だが、君望の鳴海孝之と同様心理描写が細かいので許せる。老舗F&C、最後の花火。

12、月陽炎(すたじおみりす)
大正時代が舞台の珍しいゲーム。袴に萌えたければ必須。このゲームも雰囲気がたまらない。シナリオは後半超展開だが、そんなことはあまり気にならないだろう。何よりもこのゲームは主人公がかっこいい。昨今の情け無い主人公たちは彼を見習ってほしい(とライターに言いたい)。

13、いただきじゃんがりあんR(すたじおみりす)
これも別の記事で語っているのでそっちで。本当にバグの惜しいゲームだった。

14、セイレムの魔女たち(ruf)
「セイラームの魔女事件」という実在した事件を扱った、極めて珍しいゲーム。ゆえに舞台は17世紀末の新大陸となる。キリスト教プロテスタントの歪み、白人優越主義の歪みを正面切って挑んだ意欲作でシナリオもおもしろい。絵と音楽に恵まれれば、一世を風靡したのだろうが……

15、School Days(Over flow)
なんだかんだでこの業界の革新になったゲームだと思う。それはまずフルアニメーションは簡単に作れるということの証明。もう一つはヤンデレは許容されるということ。主人公も究極まで最低なら話題性になるということ。ヘタレとも鬼畜とも違った、「最低」な主人公を御堪能あれ。

16、彼女たちの流儀(130cm, みやま零)
耽美、退廃というテーマでならこのエロゲの右に出るゲームはなかなか無いだろう。荒削りでかなり改良すべきポイントはあるが、それでもこのリストに載せる価値があると判断できる。登場人物たちは本当に未成年で、不安定でわがままで、まさに「流儀」であった。マゾに目覚めそうになるゲームでもあった。

17、MinDeadBlood(Blackcyc)
エロ、グロ、ナンセンスを極めた作品。難易度も極悪。ある意味最もエロゲらしいエロゲと言えるかもしれないが、エロゲヲタ以外には全くといってお勧めできない。人格を疑われる。シナリオ本筋は燃える王道吸血鬼モノでこっちの出来もいいのだが、やはり注目すべきは大量にあるサブイベントか。東先生には、人間の想像力には限界が無いということを教えてもらうといい。

18、Quartett(little witch)
このゲームはそのシステムに注目が行く。漫画のようなコマ割りを使った文章の読ませ方は実に新しかった。ドイツを舞台にしたクラシック音楽を扱ったゲームという意味でも斬新で、音楽の美しいゲームだった。シナリオは平凡だが、そんなところにはケチをつける必要が無いだろう。

19、カタハネ(Tarte)
『アカイイト』と同様、究極の百合ゲー。百合には耽美という言葉以外与えることが出来ないし、歴史モノとしてもおもしろかった。詳しくはこの記事か。みりす同様、メーカーがつぶれたのが残念でならない。

20、二重影(ケロQ)
別に『終ノ空』でも良かったのだが、今更ノストラダムスの預言というのもなんだし、同じ系統ならば『沙耶の唄』のほうが優秀かなと思うので、ケロQ代表としてはこちらを挙げておく。バトルモノというよりは、推理モノとして普通にかなり優秀だと思うのだが、いかがだろうか。クリアしたら図書館に駆け込んで、子一時間古事記が読みたくなるようなゲームだった。


最後に、非18禁コンシューマ作品として。

21、アカイイト(SUCCESS)
『カタハネ』と並ぶ百合ゲーの双璧。優秀な百合作品の条件として「女性同士の恋愛であることに対するキャラたちの自己嫌悪が無いこと」と「レズとは峻別されれるべし」は確実に挙げられるべきだと思うのだが、『カタハネ』も『アカイイト』もこの点では完璧だった。加えて『カタハネ』は歴史群像劇としてもすごかったが、『アカイイト』も伝記モノとしてみても十分におもしろい。

22、Ever17
元祖○○○系作品。ラストの超どんでん返しには誰もが驚かされるが、何よりそのどんでん返しが規模の割に整合性が取れているのが驚異だ。『アカイイト』もそうだが、今では2000円で新品が買えてしまうというリーズナブルさも素晴らしい。
  
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2007年06月14日

『遥かに仰ぎ、麗しの』レビュー

『遥かに仰ぎ、麗しの』をクリアした。このゲームは肯定的に捉えれば全部よく見えてくるし、否定的に捉えれば欠点はそこら中にあるという作品。たとえば延々と元ネタ集を作ってきたわけだが、それらが半分でもわかれば見事な伏線になるし、全然わからないとただのペダンティックで自慢乙、ということになるだろう。

特に評価が分かれそうなのが、主人公の性格が分校編と本校編でまるで違うこと。私的にはわざとだと思っているし、本質的なところではきちんと同一の存在になっている。しかしうがった見方をすれば、単に細かな設定をすり合わせるのを怠った結果とも読める。それに分校編の主人公には「ヘタレ」の言葉が付き纏うし、本校編の主人公には「完璧すぎる」という注文が着く。結局万人に受け入れられる主人公なんていない以上、主人公の性格はどうあったところで欠点になりえてしまうのだろう。

それと、このゲームは非常に古めかしい。もちろんグラフィックの質やシステムの使い勝手は紛れもなく06年発売なのだが、シナリオ進行の様子が古き良き『みずいろ』や『水夏』辺りを感じさせた。特に本校編はそうだった。これも『車輪』や『マブラヴ』に慣れた層、そこから入ってきた人たちには辛いのかもしれない。

さらに言うなれば、分校編に関する評価は安定しているが、この作品を手放しでほめる人は本校編のほうが好きという人が多い。点数にしてみれば分校編は70点前後で、本校編は50点か100点かのどちらか。かく言う自分も、けして手放しでほめられるほどこの作品がすごいとは思わないが、やはり本校編のほうがおもしろかったと思う。

しかし、これだけ欠点だらけにもかかわらず、思い返してみると雰囲気は「欠点の見当たらない作品」と評される『パルフェ』に近い。確かにテーマとしても同じようなところがあるし、きっとこういうのが最近の流行なのだろう。まあいろいろ書いたがともかく雰囲気が最高なことは確かなので、お勧め。

以下、壮絶なネタばれ。クリアした人か、最初からやる気の無い人だけどうぞ。クリア順に列挙。  続きを読む
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2007年03月22日

いただきじゃんがりあんR 攻略

ところで、いたじゃんの攻略をぐぐってもろくな場所が引っかからない。各キャラのイカサマ表が載っているサイトさえない。そこで僭越ながら我がブログでやってみようと思う。ストーリーモード攻略のポイントは

・ルール、勝利条件をきちんと確認する
普通のルールか宇宙麻雀か、東風戦か半荘か、ドボンはありかなしか、赤牌の数は?に至るまで、毎局ごとにルールが変化する。勘違いして負けては悔しいにもほどがある。勝利条件も毎局ごとに変わる。「相手に一度も上がられずに宇宙麻雀で勝て」なんて激烈なのもあるので注意。

・相手のイカサマを考えて打て
これがけっこう重要。例えば川口さやかのイカサマ技レベル3はALLリセットで、これを使われるといかに自分が勝っていても点数ごと初期状態に戻されて非常に腹が立つ。つまり、相手のゲージが3つ貯まる前に倒す必要がある。もしくはこっちがレベル1技を乱発すると相手はレベル1技のイカサマ無効を使ってくるようになるので、そうしてゲージを減らしても良い。他にもレベル3技が即死につながるキャラは多い(小池さんとか綾子とか)ので、相手のイカサマをいかに封じるかということが生死につながってくる。

・ラストバトル前には必ずセーブを
4人ほどラストバトルの勝敗で分岐する模様。しかもそれが隠しキャラの出現にかかわってくるようなのだが、いかんせん攻略キャラが14人(うち隠しが4人)と多すぎて出現条件がイマイチよくわかっていない。とりあえず前キャララストバトル前のデータをとっておくのが無難だろう。


まだ自分も全員は攻略が終わってないので、分かり次第追記していく。以下、いたじゃんRのイカサマ表と使いやすさのレビュー。
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2007年03月12日

みりす追悼

(以下の文章はネタの塊です、一行目を読んでさっぱりわからない人はぐぐるかあきらめるかしてください。)


じゃんがりあんハムスターのみりすが亡くなった。享年は約6年ほどだった。「うじゅ♪」というとてもハムスターとは思えない(だってCV春野h(ry)鳴き声と愛くるしい動きが特徴的で、一部の人間たちにはカルト的な人気を持っていた。

彼の最初の飼い主は、コスプレ喫茶フェレットに勤める、河合ななえさん(推定18歳以上)だった。彼女の特技は麻雀だったが、彼女の麻雀は平和で上がることを許されなかったり、どこからでもチーできたり、東南西でチーできたりととても刺激的なものだった。だがそれも今となってはいい思い出だ。

彼の次の飼い主は東京から少し離れた田舎町の名家の娘、幸野双葉嬢(推定18歳以上)だった。河合ななえさんといい、どう見ても18歳未満に見えるのだが気にしてはいけない。同時に、お前その作品設定は大正時代だろ、という野暮な突っ込みも聞かなかったことにする。双葉嬢はその後探偵として上京し活躍しているそうだが、残念ながら音信は途絶えてしまった。

私は昔、かの有馬神社で住み込みで働いたことがあった。あそこの芋かりんとうは絶品というほかなく、神主さんの娘さんの入れてくれたお茶を飲みながら縁側で和むと、これ以上の幸せはないだろうという気分にさせてくれた。もう一度行ってみたいものだが、残念ながらこちらも有馬神社がつぶれてしまい、一家の様子はわかっていない。うわさによれば、殺人事件があったそうだが。


それから紆余曲折を経て、おととしにみりすは再びななえさんのところに戻ってきた。そのときななえさんはなぜか声変わりしていたようだが(だってCVキンタ)、その飛びぬけたテンションは変わっていなかった。その麻雀はさらにカオスになり、店内の音楽とともに人々を狂わせた。


そんな僕らの愛したみりすはもういない。なぜだ!


バグだからさ。

  
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