2022年04月28日

登山記録9(鋸山,丹沢大山,大持山)

No.24 鋸山
〔標高〕329m
〔標高差〕325m
〔獲得標高差〕約560m(山頂まで行った場合)
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕13巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕2A+
石切場として長期間開発されていたため,人工的な奇観が生まれたことで有名な山。千葉県は最高標高が沖縄県よりも低い(408m)県であるため,329mでも千葉県内ではそれなりに標高が高い部類に入る。登山道は浜金谷駅側からと保田駅側からに大きく分かれているが,浜金谷駅側から登るのが主流。保田駅側からは鋸山中腹に建てられた大規模寺院の日本寺がある。なお,保田駅近隣の寿司屋で「保田駅側が本来の日本寺の表参道なのだから,こちらから登るべき」と主張された。しかし,登山としては保田駅側よりも浜金谷駅側から登った方が面白いので,日本寺自体が目的というわけでもなければ浜金谷駅側から登るべきだろう。

浜金谷駅から登るとさらに道が2つに分かれ,比較的緩い車力道と関東ふれあいの道に分かれる。ついでにロープウェーも通っている。私は関東ふれあいの道から登ったが,車力道の方が観光名所が豊富なのでこちらから登った方がよさそう。関東ふれあいの道は道中の眺望が良いが,それは合流後にも見られるのであまりメリットがない。ロープウェーも山頂駅からの登山道が険しいのであまり意味がなさげ。ちょうど合流地点(標高180m)くらいからは石切場跡になっていて,非常に見応えがある。

コースタイムは3時間半くらいで難所も特に無く,石切場付近はすべて階段で舗装されている。しかし,階段の傾斜が急でアップダウンもかなり激しいため,獲得標高は標高差の倍の600mくらいになるから,それほど楽な登山ではない。スニーカーで十分登れるが,運動不足なら太ももの筋肉の心配はした方がいい。なお,標高300m地点に展望台があって,東京湾が一望できる(上掲Twitterの3枚目)。そこから奥に山頂があるが,登山道が特に面白みがないし眺望も無いので,ピークハント目的でなければ行く意味がない。展望台で引き返して問題ない。なお,下山してから気づいたのだが『ヤマノススメ』でのひなたとここなはこの展望台で引き返しており,しろ先生が「山頂はむっちゃ地味」と補足していた。聖地巡礼の意味でも山頂は行かなくてよさそう。

展望台から保田駅側に下山すると日本寺に入る。拝観料をとられるが,回避しようとすると大きく迂回することになるので注意が必要(関東ふれあいの道の正規ルートがこの迂回路で,おそらく関東ふれあいの道の事実上の通行料が発生するのを避けるためにこの迂回路が設定されたものと思われる)。日本寺は大規模な石窟寺院で見応えがあるから,よほど拝観料をとられたくない場合以外は迂回しなくてよい。ただし,この日本寺は創建が18世紀末で,しかもそこから長く放置され,戦後の高度経済成長期になってから大規模な造営が進んだため歴史が浅く,権威付けのために胡散臭いエピソードを山ほど盛っているのが一周回って面白い。開山からして聖武天皇の勅詔と実際の18世紀末から1000年以上盛っていて,空海や良弁が修行に来たことになっている。一番笑ったのは源頼朝が植えたとされるソテツ(樹齢800年)。当時は実際には開山してないのだから寄った可能性は極めて低いだろう。

下山後は漁港が近いだけあって美味しい寿司屋があるから探してみてほしい。アジが名産らしい。鋸山の数少ない欠点は東京からちょっと遠いことで,内房線の本数がそれほど多くないので旅行は計画的に。『ヤマノススメ』では飯能から行っているわけだけど,よく日帰りしたな。



鋸山 / 稲田義智さんの鋸山の活動データ | YAMAP / ヤマップ




No.25 丹沢大山
〔標高〕1252m
〔標高差〕550m(ケーブルカー山頂駅から)
〔獲得標高差〕770m
〔百名山認定〕三百名山
〔ヤマノススメ〕14巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕2A
丹沢の入門編,気軽に行ける観光地。コースタイムはケーブルカーを使わなかった場合で4時間半ほど,ケーブルカーを使うと1時間くらい減る。整備は極めて行き届いていて高尾山並だが,標高差の大きさを見ればわかる通りに階段や登山道はそれなりに急で体力は必要。眺望はケーブルカーだけで行ける中腹の阿夫利神社が一番良いので,眺望を楽しむだけなら登山不要。麓は信仰の山らしく豆腐屋と,猪鍋屋が多い。私が行った時は豆腐屋に寄ったが,次に丹沢に行った時は猪鍋を食べたい。




No.26 大持山(ウノタワ)
〔標高〕1294m
〔標高差〕930m
〔獲得標高差〕約1220m
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕10巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕3B-
 天気が曇りそうだったので眺望を期待しなくていい山ということでここをチョイス。しかし,実際にはこの日は快晴でもったいないことをした。『ヤマノススメ』の聖地ということでもなければまず選ばない山であるが,実際に登山として面白かったかと言われると微妙である。足元だけで言えばスニーカーでも登れるレベルだが,道の整備がひどくて完全に野に帰っていた箇所もあり,急坂や突発通行止めも多くて登山慣れは必要と感じた。完全に封鎖されている登山道も多くて,2022年春現在で言えば名郷バス停から鳥首峠を通るルートか,武甲山側から下ってくるルートの2つ以外は通行禁止である(したがってリンクを貼ったサイトのルートはそのまま通れない)。その鳥首峠を通るルートもボロボロで,これだけひどいのは関八州見晴台以来であったから,やはり原因は埼玉県の整備にありそう。武甲山は整っていたのでやる気がないわけではないと思いたい。なお,『ヤマノススメ』ではあおいとひなたが積雪期にチェーンスパイクを履いてあっさり登っていたが,あおいの体力でチェーンスパイクであの急坂は無理だと思う。原作の不自然ポイントを発見できたのは,残念聖地巡礼の数少ない収穫であった。
 目的のウノタワは「鵜の田沼」とも書くように山中に突然沼の跡地らしき広場が出現する。観光名所になりうるかと言われるとそこまで広いわけではなく,単に広場という以外に特徴も無いから厳しい。そこから50分登ったところに大持山のピークがある。眺望がそれほどあるわけではないのでピークハント目的か,武甲山まで縦走する目的以外で立ち寄る意味は無いだろう。……そもそも大持山を登る人はアニメ未登場の聖地に登ってしまうような奇特な『ヤマノススメ』原作オタクか,埼玉県の山を全部制覇しようとしている極まったハイカーのいずれかだけだろうから無用な助言だろうが。



なお,名郷バス停から行くルートでは,リンクを貼ったサイトにもある通り,白岩集落という廃村を通り抜ける形になる。私は本物の廃村を間近で見るのは初めてであったので,けっこう印象深かった。また,武甲山との競争に負けたらしき石灰岩の露天掘りの廃鉱と廃工場もあって,こちらも面白かった。むしろこれらを見に行く目的で大持山登山を計画すべきかもしれない。



天神山・横倉山・大持山 / 稲田義智さんの大持山天神山(埼玉県秩父市)横倉山(埼玉県)の活動データ | YAMAP / ヤマップ

  

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2022年03月23日

登山記録8(雲取山,大菩薩嶺)

No.22 雲取山
〔標高〕2017m
〔標高差〕1480m(鴨沢から)
〔獲得標高差〕約1700m
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕12巻
〔県のグレーディング〕5B
〔私的な難易度と感想〕6B
2018年の夏,富士山の前哨戦として登頂……したら富士山よりも辛かったという。東京都の最高峰にして東京都・埼玉県・山梨県の県境。山頂には三県の標識があるが,東京都の標柱だけ非常に豪華で,東京都最高峰たる威厳と東京都の資金力を誇っている。対して富士山などを擁する山梨県の標柱はやる気がない。

コースタイムは鴨沢から登って6時間半,三条の湯経由でお祭に下って7時間ちょうど。合わせて13時間ほどになるので,富士山とほぼ同じである。しかし,岩場の量がそこそこ多いことや補給ポイントの少なさ等を加味すると,富士山よりも厳しいのではないかと思う。『ヤマノススメ』でも二度目の富士山の前哨戦としてあおいたちが挑戦しているが,登りは雨が振っている上にテント泊をしているので,尚更富士山より厳しかったのではないか(実際にひなたは「富士山より全然きついよねこのルート」と言っている)。滑落して死ぬような場面はほぼ無いが,ただただ長くてしんどい。山梨県によるグレーディング5Bだが,少なくとも富士山と同じ6Bが妥当だろう。

なお,私と頬付は夏場に登ったため麓の鴨沢は早朝の時点ですでに35度,ちょっと登っても全然気温が下がっていかず,大量に持ってきた水をすごい勢いで消費した。おまけに15時過ぎにはあまりに早い夕立に遭い,登山で初めてゴアテックスのアウターのお世話になった。しかし,その夕立の直前にかわりばえのしない杉林を歩いていた途中,落ちていたビニール袋を調べたら『ラヴクラフト全集』を見つけてしまったのがこの時の登山のハイライトである。山中で頬付と二人で爆笑していた。この経験はまず間違いなく一生忘れない。雲取山は魔界。そりゃ炭治郎くんも鬼舞辻無惨に襲われることくらいあるよね。



登山道の8割は奥多摩にありがちな杉林で眺望が死んでいるが,七ツ石山を過ぎた辺りからは樹木が減って多少は開けてくる。山頂付近は良い眺望で楽しい。が,同時にその辺りから道が険しくなり,岩場も出現する。残りの体力には注意が必要。



あとは雲取山と言えば平将門の迷走ルートとして話題になったことがある。鴨沢から七ツ石山に寄る登山道で登ると,これらの看板は全て確認できる。むちゃくちゃなストーリー展開がけっこう面白い。
・登山中にこんな立て看板を読まされたらこれはもう登らざるを得ないよ、というお話「楽しそう(笑)」「考えたな」(Togetter)

我々の登頂の際は富士山に先立って山小屋を経験しておくという目的があったので雲取山荘に宿泊。その日は酷暑だったためか人が少なく部屋は頬付と2人であったが,普通は他のグループと合わせて4・5人で一部屋らしい。環境は良かった。下山路では三条の湯に寄った。濃いアルカリ性の鉱泉で面白かった。



総合すると,あまりに長い登山道だが,その長さを楽しむ登山ではあろうか。『鬼滅の刃』の竈門炭治郎の出身地として聖地巡礼するには,初心者には厳しい山だが,体力に自身があるなら挑戦してみてほしい。


No.23 大菩薩嶺
〔標高〕2056m
〔標高差〕470m(上日川峠から),1160m(裂石登山口から)
〔獲得標高差〕約590m(上日川峠から)
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕13巻
〔県のグレーディング〕2A
〔私的な難易度と感想〕2A(裂石登山口からなら3A+)
小説『大菩薩峠』で有名な山……なのだが,私は未読である。また,現在の(また小説内で)大菩薩峠とされている場所は歴史的な大菩薩峠ではないらしい。ともあれ,バスで標高1500m超まで行けてしまうので,非常に楽な登山ができる。大菩薩峠はバス停からすぐ,1時間20分ほどで着き,かなり眺望が良い。



山頂は峠から30分ほど歩くと着くが,こちらは逆に眺望が無い。ピークハントに興味が無ければ峠から少し進んだ賽の河原を観光してすぐに帰ってもいいだろう。上日川峠ルートの欠点はバスが土日にしか走っていないことと,バスが混んでいることくらいしかない。



私が行った時は上日川峠に戻ると早くなりすぎてつまらないということで,逆側の裂石登山口から下山することにした。こちらは楽すぎず,普通の登山道であった。コースタイムは3時間ほど。眺望は無いが,森林浴はまずまず気持ちいい。特に面白みは無いが,後述するような事情からこちらから降りるのも良いだろう。裂石登山口から下りると,すぐそこに雲峰寺という寺があり,武田氏縁の宝物殿がなかなか面白かった。また,裂石登山口からJR塩山駅に向かってバスに乗ると途中に塩山温泉があり,ここの宏池荘が強アルカリ性の温泉で非常に良かった。源泉が約25度でちょうどよく,40度ほどに加温された浴槽と源泉かけ流しの浴槽があるので,交互に入ることを勧められるが,確かにそれが気持ちいい。建物の外観が古く風貌がちょっと怪しいが,気にせずに入るべし。温泉を出たら最後に塩山駅か甲府駅でほうとうを食べて帰れば,綺麗に一日が終わるのでお勧め。  
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2022年03月06日

登山記録7(美ヶ原,武甲山)

No.20 美ヶ原
〔標高〕2034m
〔標高差〕620m(三城いこいの広場から),100m(道の駅から)
〔獲得標高差〕720m
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕11巻(のおまけ)
〔県のグレーディング〕2B
〔私的な難易度と感想〕3A+(道の駅からなら1A)
「美ヶ原」とは大仰なネーミングだと思いきや,全く名前負けしていない。山域がだだっ広く,東半分は名前の通りの美しい草原が広がっている。見よ,この圧倒的な光景。

この草原の最東端が道の駅になっているので,まじめに登山するのが億劫なら高低差100mのここまで自家用車で行くことができる。また,そこからは山頂すぐそこまでバスも出ているので,極端に言えばほとんど歩かずに山頂の「王ヶ頭」まで行ける(したがって難易度は1A)。もちろん,草原の真ん中を割るように通してあるトレッキングコースを歩くのはとても気持ちいい。コースの分岐に「塩くれ場」,すなわち牛が塩をなめに来る岩場があるように,草原には時期が良ければ牧場の牛が闊歩している。私が行ったのが晩秋なのですでに寒く,牛は牛舎から出てきてくれなかった。山頂の王ヶ頭には電波塔が並び立っていて,人によっては自然破壊に見えるだろうが,私を含めた多数派の感想は偉容を誇っていて面白いというものだろう。



王ヶ頭から西に進むと,美ヶ原の最西端「王ヶ鼻」にたどり着く。ここは王ヶ頭よりも草原から突き出ているために270度の大パノラマで眺望はこちらの方が良いが,王ヶ頭でも十分な眺望ではあるので,体力と相談してここまで行くか決めるとよい。また王ヶ鼻は謎の石像群が並んでいて,ここも昔は修験道の場だったことを忍ばせる。

登山道はいずれも王ヶ頭・王ヶ鼻に向かって西南方向から伸びている。難易度は長野県の公式グレーディングだと2Bになっていたが,実際に登った感覚としてはBにするほどの難易度が無い。多摩の低山にありそうな感じの,よく整備された登りやすい登山道で,登り慣れている人ならさして苦労せずに登頂できるだろう。ただし,登山道はそこそこ長く,美ヶ原高原が広大であるので,ちゃんと登って高原もそこそこ回ると6時間前後のコースタイムになる。今度は逆に公式グレーディングが"2"になっていたのだが,これは"3"相当だろう。公式グレーディングがこれだけ当てにならない山は珍しい。魅力的で離れがたい光景が続くからこそ時間の余裕を持って回りたい山である。なお,あまり宣伝されていないが,美ヶ原の南面麓,登山道付近の森林が「長野県民の森」に指定されていて,森林の多い長野県の中でもそう指定されているだけのことはあり,見事な森だった。美ヶ原を登ったなら,ぜひここも訪れてほしい(下のツイートの4枚目が県民の森)。



ところで,『ヤマノススメ』で美ヶ原って出てきたっけ? と思った方がいたら鋭い。11巻の単行本のおまけで,黒崎家が訪れていて,王ヶ頭ホテルに泊まったという描写が出てくるだけである。この際に,ほのかが夜にホテルを抜け出して夜景を眺めているのだが,行ったのが真冬で-20度とのこと。これは作者の実体験らしく,その時の写真がたまにTwitterに上がっている。





美ヶ原(王ヶ頭)・王ヶ鼻 / 稲田義智さんの王ヶ頭(美ヶ原)の活動データ | YAMAP / ヤマップ




No.21 武甲山
〔標高〕1304m
〔(獲得)標高差〕1000m(横瀬駅から),780m(登山口から)
〔百名山認定〕二百名山
〔ヤマノススメ〕12巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕3A+(登山口からなら2A+)
埼玉県の誇るピラミッド。登山道は西武秩父線の横瀬駅から登る道と秩父鉄道の浦山口駅から登る道があるが,2021年11月時点で崩落していて通行止めとなっていた。復旧するまでは横瀬駅側から登るしかないが,横瀬駅から登山口までがかなり遠く,1時間半はかかる。登山口の駐車場はそれなりに広いので,自家用車で行けるならそれに越したことはない。私が行った時は横瀬駅から歩いたが,これはこれで面白かったので一度なら歩いてもいいだろう。武甲山がピラミッド,人工物らしい形状になっているのは古くからの石灰の石切場となっているためで,横瀬駅から登山道までの道の両側はびっしりとセメント工場が立ち並んでいる。『ヤマノススメ』でもこの工場群が推されていて,「眺めながら登山道に向かうのも一興」と評されていた。大人の社会科見学だなーと思っていたら,登山口にあるカフェで地元の人に話しを聞いたところ,実際に工場見学はよく開かれているらしい。道に石灰が厚く積もっていて真っ白だったのにも笑ったが,石灰等を吸った処理水が火山や温泉でよく見る色に染まっていたのが一番笑った。



しかしまあ,歩かないに越したことはないので,浦山口駅からのルートが早々に復旧されないならバスを引くのを西武鉄道さんにお願いしたい。登山口にあるカフェのLOGMOGは良い店で,そこそこ長い登山道のため,ここで最後の腹ごしらえをしておきたい。看板ヤギがかわいい。さて,登山道はさして面白みがなく極普通で,道に迷うこともない。埼玉県にしてはよく整備されているのは,登る人が多いためか,県外でも知られているためか。他の山とのあまりの整備具合のギャップに少し驚いた(その気合を少し関八州見晴台なり棒ノ嶺なりに分けてほしい)。道中の眺望は奥多摩・秩父にありがちな杉林が続き,ほぼ死んでいる。同じ石灰の山でも伊吹山は森林が死んでいたのに,こちらはよく育つものだ。この違いは伊吹山と違い,武甲山は北側斜面のみが石灰岩質で,南側斜面は普通の玄武岩だからとのこと。登山道は南側から伸びている。北側斜面は見ればわかる通り,ダイナマイトで発破しまくっているので普通に危険だから登山道がない。コースタイムは自家用車使用の登山口から4時間,横瀬駅から全部歩いて7時間弱。浦山口駅からのルートも7時間ほどかかるようなので,労力はさほど変わらなそう。

山頂からの眺望は絶景の一言で,このために登る価値あり。山容一発ネタの山じゃなかった。眼下に採石場・麓のセメント工場群がよく見え,中景には秩父市街,奥の方に本庄市,前橋市が見える。



下山後の温泉は武甲温泉がある。総合してコンテンツ力がそこそこ高く,『あの花』聖地巡礼,秩父市観光等と合わせて一度は登る価値がある山だろう(なお当方『あの花』未視聴)。



武甲山 / 稲田義智さんの武甲山の活動データ | YAMAP / ヤマップ
  
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2022年02月14日

登山記録6(御岳山/日の出山,鎌倉アルプス)

No.17,18 御岳山/日の出山
〔標高〕929m(御岳山)/902m(日の出山)
〔標高差〕(御岳山山頂まで)御嶽駅から約700m,ケーブルカー麓の滝本駅から約530m,ケーブルカー終点の御岳山駅から約90m/(日の出山)御岳山駅から約60m,二俣尾駅から約670m
〔獲得標高差〕(バス・ケーブルカー使用,ロックガーデン周回,日の出山まで)約360m
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕10巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕ケーブルカー使用で1A,ロックガーデン回って2A+,麓から歩いて3A,日の出山を縦走して4A+
難易度を細かく分けたが,バリエーションルートが極めて多いためである。御嶽駅からケーブルカーまでは普通の車道で,歩道が狭い場所があって通りがかかる車がけっこう怖いので,大人しくバスに乗った方が良い。登山道も,道中に歴史を語るキャプションがあったりケーブルカーの真下をくぐれたりで楽しみが無いわけではないが,最後まで完全舗装路で登山道としての面白みはゼロに近い。ケーブルカー自体が観光名所になっているので,これも普通にケーブルカーに乗るのを勧める。山頂にいる騎馬武者像は通り掛かる人皆に「誰この人?」と言われていたので笑ってしまったが,この人は畠山重忠である。2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」で大活躍するはずなので,ぜひともこれを機会に名前を覚えていってほしい。神社はかなり立派で,古い宿坊が並ぶ門前町が生きているのも良く,またここからでもそれなりに眺望が良い。



それでは全く登山ではないのではないかと思われるかもしれないが,御岳山は山頂の奥にロックガーデンという観光名所があり,これをぐるっと一周回ると2時間程度かかる。また,こちらは舗装されておらず,決して難度は高くないが登山している感じは十分にする。このロックガーデンは開発開始されたのがなんと昭和10年と,都内の登山道としては極めて古いもので,バブルの資金に任せて開発した感のある三頭山の都民の森とは好対照な,自然の地形をそのまま活かした登山道であった。名前の通りで大小様々な岩石が川沿いにゴロゴロしており,二本の滝も立派である。なお,道中に天狗岩という巨岩があって鎖場をつたって登れるが,登っても特に大したことはないので登らなくていい。



御岳山は他の山への中継地でもあって,『ヤマノススメ』ルートをなぞって日の出山に行くもよし,二百名山の大岳山に行くもよしで,むしろバス・ケーブルカーを使わないと時間が足りない。たとえば御岳山をケーブルカーを使わず登り,ロックガーデンを回った上で日の出山を縦走して二俣尾駅に下山すると,YAMAPのコースタイムで8時間かかる。ケーブルカーを使えば1時間減らせる。その日の出山であるが,名前の通り奥多摩山塊の最も東方に位置していて,東方に完全に開けている。そのため絶景も絶景で,日の出山の山頂からはスカイツリーまでくっきり見えた。位置関係がわかる人なら驚くだろう。標高はわずかに900mで低いのだが,位置が良いと,低平な関東平野はここまで見渡せるのだなと感動した。



スマホのカメラの写真では全くわからないので,一眼レフのデジカメを持った友人を連れていきたいところ。日の出山からの下山路もバリエーションに富んでいて,今回私は青梅線の御嶽駅から3つ手前の二俣尾駅に降りていくルートをとったが,通っている人が全然いないのか,東京都の登山道にしては少し荒れていて枯葉も積もっていた。おそらく一番メジャーなのはつるつる温泉に降りていくルートで,つるつる温泉からは武蔵五日市駅行のバスが出ている。急激に下るのでコースタイムが短い上に,つるつる温泉がアルカリ性の温泉でここに浸かって帰れるのがすばらしい。私も次回はそうしたい。もう一つ,武蔵五日市駅に直行する金毘羅尾根ルートで,がっつり歩きたい人が多そうなYAMAPだとこのルートの記録も多かった。総じて,手軽さもあってもう二度三度と登りたい山である。



御岳山・日の出山 / 稲田義智さんの三室山(東京都)御岳山愛宕山(東京都青梅市柚木町一丁目)の活動データ | YAMAP / ヤマップ



No.19 鎌倉アルプス
〔標高〕195m(大平山)
〔標高差〕鎌倉駅から約185m
〔獲得標高差〕約260m
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕11巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕1A+
ご存じの通り山に囲まれている鎌倉の,その山をめぐるコース。北鎌倉駅から出発して明月院または建長寺の脇を通って山の中に入り,最高峰の太平山を目指す。下山路は海に向かって歩いて瑞泉寺の境内に出る。その後は町中に出て永福寺跡,鎌倉宮,法華堂跡,鶴岡八幡宮を通って鎌倉駅でゴール。『ヤマノススメ』ではその後に海まで歩いたようだ。コースタイムは登山道が2時間ほどで町中も含めると3時間弱。登山道は基本的に楽だが,わずかに鎖場・岩場があるので注意したい。登山道として挑むというよりも,鎌倉の普通の観光を一通りしたことがあって行くべき場所が少なくなってきたら歩いてみてもよいだろう。私が歩いた時は鎌倉の史跡に詳しいKousyouさんに連れて行ってもらったので,道中で細かい史跡を紹介してもらえて非常に楽しかった。「鎌倉やぐら群」と呼ばれる小規模墳墓について少し調べてから行くとより楽しめるかもしれない。  
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2022年01月19日

登山記録5(関八州見晴台,伊吹山)

No.15 関八州見晴台
〔標高〕771m
〔標高差〕530m
〔獲得標高差〕約870m
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕8巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕2B-
『ヤマノススメ』聖地巡礼以外の目的がほぼ無い,自分としては珍しい登山。結論から言えば『ヤマノススメ』聖地巡礼目的以外なら登らなくていい。登山道は極普通で,樹林帯歩きや稜線歩きはぼちぼち楽しいが,それなら別の山でいい。肝心の眺望は,立地と名前からすると360度の絶景が広がっていそうなものだが,実際には山頂には樹林が生い茂っていて,せいぜい120度というところで関八州は全く見渡せない看板倒れになっている。また整備がひどく,YAMAPと方位磁針を頼りにしないと普通に迷っていた。YAMAPや「山と高原地図」では通行可能になっていた道が通行止めになっていたり(それも更新が間に合っていないだけと言えるような様子でもなく),何よりも下記のつぶやきの通り看板の案内が普通に間違っているのは大問題であろう。山頂でシルバーツアーの方々が「めちゃくちゃ道に迷って薮漕いできた」と話していたのも印象的で,そういうことも起きるよなと。

難易度は単純な技術だけで言えばA+でもいいくらいに易しいが,上述のような無駄に高く求められるルートファインディング能力やそれに伴うスケジュール管理能力,最悪の場合の藪漕ぎへの対応力から言ってB-とした。なお,本山は高山不動という不動明王を祀った寺院と不動三滝なる三つの滝が名物であるが,滝は枯れていたり小規模だったりで見どころにはなりえず,見に行くにはかなりの遠回りを強いられるので行かなくていい。高山不動の建物はまずまず立派で寄る価値があるが,キャプションがかすれていて読めないなど,ここでも不整備が目立った。いろいろな意味で残念な山である。そう思って『ヤマノススメ』8巻を読んでみると,この山はあおいが山頂でコーヒーを淹れる回であって山はメインではなく,滝に寄っていなかった。さもありなん。



日影山・丸山・関八州見晴台 / 稲田義智さんの丸山(埼玉県飯能市)関八州見晴台日影山(埼玉県)の活動データ | YAMAP / ヤマップ



No.16 伊吹山
〔標高〕1377m
〔(獲得)標高差〕1160m
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕9巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕3B
高山ばかりという批判もある日本百名山だが,1500m以下で入っているものは4座しかなく,伊吹山はそのうちの1座である……ということが登山口の簡易ビジターセンターで熱心に説明されていた。確かに標高は1500mに満たないが,琵琶湖の湖岸から少し内陸に入っただけの場所からスタートするので登山口の標高は220mしかなく,獲得標高は1200m近いから普通にけっこうな長丁場になる。登山道における最大の敵は日射で,土壌が石灰岩質であるために火山かと思うほどに樹林が発達しておらず,山の南西方向から登っていくため登山中は常に日光に照らされる。日焼け止めを入念に塗っておかないと,まさかの日焼けでリタイアということになりかねないだろう。また,石灰岩の小石・浮き石が散らばっていて転びやすく,八合目以降は岩場もある。コースタイムも6〜7時間とそこそこ長い。この辺りの注意点を勘案すると3Bでよいだろう。『ヤマノススメ』ではあおいが楽に登っているが,いつもの詐欺である。あおいが富士山に苦労する程度の体力という設定,常にどっかに飛んでくだよなこの漫画……

眺望は道中からしてずっと良く,正面には山頂が,振り向けば琵琶湖が常に見える。登山道の両側は斜面に色とりどりの草花の合間に石灰石の白石が転がっていて,これがよく映えている。花の百名山にも認定されているのは伊達ではない。鳶が飛んでいるのも趣深く,山頂の山小屋には「鳶と鷹は身体のサイズ以外に違いがない」という説明があるほど鳶の数が多い。個人的には山頂まで続く登山道がけっこう好き。1枚目が4合目からの山頂,2枚目は中腹からの琵琶湖,3枚目は8合目付近の登山道で,石灰岩の様子がよくわかるだろう。
伊吹山登山道伊吹山中腹伊吹山8合目

山頂の眺望は絶景で,登山道の方向を見れば琵琶湖の対岸まで見え,90度ほど東に目を向ければ関ヶ原である。日本史が好きなら東西両軍の配置が目に浮かんで感動することだろう。なお,その関が原方向から山頂に向かって伊吹山ドライブウェイが伸びていて,九合目まで自家用車またはバスで来ることができるので,登山をする体力・時間が無ければこちらで山頂まで来るのもよいだろう。また,山頂には大きな山小屋があって,昼食や土産物が豊富に準備されている。観光としては記紀神話に登場し,ヤマトタケルが白猪と戦っている(しかも白猪が勝っている)ことがアピールされている。ヤマトタケルの巨大な像もあれば白猪の像もあった。その辺りの面白さも含めてさすがは日本百名山であり,難易度のちょうど良さも含めて私は大好きな山である。  
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2021年12月20日

登山記録4(奥高尾縦走路)

初回はこちら。各項目の説明は初回を参照のこと。


No.12・13・14 奥高尾縦走路(陣馬山・景信山・小仏城山)
〔標高〕855m(陣馬山)・727m(景信山)・670m(小仏城山)
〔標高差〕640m(陣馬山,栃谷尾根ルート),530m(陣馬山,陣馬高原ルート)
〔獲得標高差〕約1190m(陣馬高原スタート),約1280m(栃谷尾根スタート)
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕8巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕全部合わせて4A
陣場山から明王峠・景信山・小仏峠・小仏城山と抜けて高尾山から下山する縦走路。山を4つ登頂する割には難易度が低く,お手軽に日帰り縦走を体験できる。いずれの山も極めてよく整備されていて,まず迷うことも躓いて転ぶこともない。最初の陣馬山がやや険しく,特に栃谷尾根ルートは難易度に似合わない急登であるので少しだけ気をつけた方がいいかもしれない。なお,栃谷尾根ルートは出発地点がJR藤野駅でバスが不要である代わりに登頂まで3時間15分かかり,陣馬高原ルートは駅からのバスがけっこう長い代わりに1時間50分と登山時間を大きく圧縮できる。栃谷尾根ルートは登山道入り口がややわかりづらいので,こちらから登る場合は注意されたい。陣馬山の山頂といえば巨大な白馬像で,これは1960年代後半に京王電鉄が建てたもので特に深い意味は無いようだ。眺望は「天気が良ければ富士山が見える」という触れ込みで,私が登った時にも確かに見えたが……これは誇大広告気味なような。あとは『ヤマノススメ』でも食べられている通り,陣馬山山頂の山小屋で売られているきのこ汁はけっこう美味しい。聖地巡礼目的でなくても食べるとよい。

陣馬山眺望陣馬山の白い馬像陣馬山きのこ汁



陣馬山から40分で明王峠,そこから30分で堂所山,そこからさらに1時間歩くと景信山に着く。陣馬山とは逆の関東平野側に開けているので,樹林帯の切れ目から東京方面の市街地が見える。ここもきのこ汁が名物なのだが,私が行ったタイミングでは売店が閉まっていた。オフシーズンなので仕方がない。陣馬山に比べると正直魅力に欠ける。

景信山眺望


景信山から40分で小仏峠。ここは古来利用されていた甲斐路の交通の要衝で,武田信玄が北条氏と戦ったときにここを越えている(これが滝山城から八王子城に防衛拠点を移す契機となった)。江戸時代には甲州道中が通り,明治時代には天皇が行幸し,現在ではJR中央線と高速道路(中央自動車道)が付近を通っている。そのため,小仏峠からは中央自動車道がよく見え,その音もする。これはこれで1つの景観だろう。「明治天皇小佛峠御小休所阯」なる,小休止しただけにしては仰々しい石碑も立っている。

明治天皇小休止の碑


最後に小仏峠から25分で小仏城山,そこから1時間ほどで高尾山に着く。小仏城山以降は木道になり,整備が極まっている。逆に言って高尾山登山口から小仏城山までは革靴でも登山可能。栃谷尾根登山口から登って高尾山6号路で下山したとして,総行程9時間,距離にして18km超,5つのピークを越えるの長丁場になるが,まともな登りは最初の陣馬山のみで残りは小刻みなアップダウンに過ぎないから膝への負担は少なく,それに比して達成感はある。
  
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2021年12月11日

登山記録3(瑞牆山・金峰山),あと『ヤマノススメサードシーズン』について

初回はこちら。各項目の説明は初回を参照のこと。長くなったので今回は2座だけ。YAMAPのヤマノススメ巡礼マップ(瑞牆山・金峰山)も参照のこと。

No.10 瑞牆山
〔標高〕2230m
〔標高差〕750m(瑞牆山荘から)
〔獲得標高差〕約830m
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕7巻・アニメ3期
〔県のグレーディング〕2C
〔私的な難易度と感想〕2C ※ 下記を参照のこと
自分が初めて本格的に挑んだ難易度Cの山。ただし,岩が頑丈でしっかりしているし,切り立った痩せ尾根があるわけでもない。コースタイムは瑞牆山荘からで4時間50分。富士見平でテント泊するなら3時間20分になるから,旅程も短くてあっという間に山頂に着いてしまうから,体力もそれほど必要としない。と削っていくと残ったものから推測がつく通り,この山の難易度は純粋にアスレチック的・ロッククライミング的テクニックに偏っている。コースタイムのうち最後の1時間は岩場と鎖場とハシゴしかない。要するにこういう感じの道が延々と続く。ボルダリング完全未経験で,当時はまだ三点支持? なにそれおいしいの? というレベルだった私は2・3箇所足をかける場所がわからなくて途中で帰ろうかと思った。今ならもう少し楽に登れるかもしれない。ともあれ,テクニック理由で登頂未達になりかけたのは登山を始めて5年ほどの現在でも瑞牆山が最初で最後である。逆に言えば,その辺の経験やセンスがある人にとっては軽い山で,難易度Bの山よりも簡単に感じるかもしれない。同様の理由で,ロッククライミングのつもりで行くと逆に物足りないだろう。

瑞牆山道中


麓から見上げた山容も威容なら山頂からの眺望も威容で,切り立った奇岩による山水画の世界を楽しむことができる。次の写真は麓からのものだが,この光景だけでも瑞牆山は価値が高い。

瑞牆山の山容


その他の注意点としては,人気の山で登山者が多い割に山頂が狭い。山頂で昼食休憩を考えているなら早めの時間帯に行った方がいいだろう。あと岩壁をよじ登っていく関係で道が非常に狭いので,難易度が高い箇所で詰まると自分が原因で渋滞が発生するのも注意が必要。発生させた張本人が言うのだから間違いない。なお,YAMAPにはヤマノススメ聖地巡礼用MAPが用意されていて,我々もこれを利用して登った。それにしても,これを「きつい登りだけど何とか平気」と言いつつあっさり登ったあおいはアスレチック能力はかなり高い。少なくとも私より高い。そうそう,原作通りに富士見平でキャンプするのも悪くないだろうが,瑞牆山荘は山小屋とは思えないほど設備が良い。なにせ風呂までついている。夕飯もローストビーフが出てきて驚いた。お勧め。


No.11 金峰山
〔標高〕2599m
〔標高差〕約1120m(瑞牆山荘から)
〔獲得標高差〕約1640m
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕7巻・アニメ3期
〔県のグレーディング〕4C(瑞牆山荘から)・2B(大弛峠から)
〔私的な難易度と感想〕4C ※ 下記を参照のこと
瑞牆山のお隣の山にして,奥秩父の盟主,第二の高峰。山梨県民は「きんぷさん」,長野県民は「きんぽうさん」と読むらしい。自分が2021年までに登った山の中では最高難易度。コースタイム7時間30分(行きが4時間)で標高差1120m,1時間に300m上がらないということからわかる通り,急登は多くない。特に行きの前半2時間ほど,「大日岩」という名所の少し手前まではただの樹林帯が続く。ところが後半が難易度のCたる所以で,鎖場からの鎖場,特に「砂払いの頭」「千代の吹上」という名所以降は基本的に痩せ尾根と崖が続く。ちょうどこの辺りで森林限界を超えるので,視界に岩と空しかない世界になることもあって異世界感が強い。ただし,岩場・鎖場は瑞牆山ほどには厳しくなくて私でも詰まった場所はなかったし,また合間に普通の山道が入る。どちらかというと痩せ尾根の方が危険度が高い。『ヤマノススメ』作中で楓さんが「森林限界を超えたら気持ちのいい稜線歩きが続くから,そこまでがんばりましょう!」と言うのだが,それ自体は正しいのだけども,むしろ稜線歩きの方が緊張するので気持ちは休まらない。

金峰山道中


確かこれが千代の吹上付近だったと思うが……改めて見ても画面の右側がおかしい。技術的に登れない箇所は出てこないけど滑落して死ぬ可能性があるのはこちらという点で瑞牆山とは好対照であると思う。私的には体力は割りと余裕があったが,この気の抜けない難所が断続的に続くために精神が削られた。山頂は,本来なら富士山も見える絶景なのだが我々が登った時は完全に霧の中であった。それで痩せ尾根が余計に怖かったところもあるかもしれない。後でこの時の同行者に後に「トラウマになっていて過大に怖がっているのでは」と言われたことがあり,それはなくもないと自分でも思う。ただ,それはそれとして,『ヤマノススメ』聖地巡礼勢のサイトや同人誌を読むに割りと皆苦戦しており,あおいとひなた同様に山頂未達の人も見かける。少なくとも現状のアニメ版『ヤマノススメ』聖地巡礼では最難関なのは間違いないと言える(原作だと石鎚山に負けるが,あそこはあおいとひなたが登っていないので例外とすると,原作でも最難関か)。

そんな金峰山であるので,原作7巻でひなたが膝が痛むと言いだして,あおいが付き添って途中で下山に切り替えたのは判断として正しい。描写を見るに,上述の通りに難易度が上がり始める頃の大日岩付近で引き返したのだろう。ところが,アニメ版ではひなたが膝が痛いことを打ち明けるのがもうかなり山頂に近い「砂払いの頭」に変わっているので,実はかなり不自然なことになっている。上述の通りの難易度であるので,あおいがひなたの分のザックも背負いながらここから下山できてしまうのは,それまでのあおいの登山能力との乖離が激しくなってしまうのだ。しかしながら,これが愛のなせる技なんだなと脳内補完しながら,あのカップルはこんな危険箇所で仲直りしていちゃついてたんだなという思いを馳せながら登ると,聖地巡礼としては極めて楽しめるのではないかと思う。我々も「12話のあのシーン,この岩の上だったのかよwwwww」と爆笑しながら下山していたので,疲労の割には非常に楽しかった良い印象の方が強い。これは登って現地で見ないと実感として理解できないと思われるので,正しく聖地巡礼の意味があり,最も巡礼の価値がある山でもある。この意味で原作信者は3期アニメの改変に対して切れていい。『ヤマノススメ』に存在しているのかは知らないが。あと,息を切らしていないどころか楓さんよりも体力残ってそうな感じで完走したここなちゃんは一体。

『ヤマノススメ』ではあおいとひなたが登頂していないためか描写されていなかったが,金峰山の山頂から少しだけ下りたところにある金峰山小屋の名物が鍋焼きうどんである。これが恐ろしい登山道で疲弊した体力と精神を回復させるから,ぜひとも昼飯はここで。あとこの山小屋の犬がかわいい。

金峰山小屋の鍋焼きうどん金峰山小屋の犬


ところでこの金峰山は登山道が大きく分けて2ルートあり,1つは『ヤマノススメ』と同様に1泊2日で瑞牆山と縦走する,瑞牆山荘を拠点として西側から登るもの。もう1つは正反対の東側,大弛峠から登るものである。前者は既述の通り4Cと高難度だが,後者は地方自治体グレーディングで2Bとなっているから,おそらくさして苦労せず登れてしまうのだと思われる。個人的にはトラウマの払拭と眺望のリベンジを兼ねて,今度は大弛峠から登ってみたい。  
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2021年12月04日

登山記録2(霧ヶ峰・棒ノ嶺・地蔵岳・筑波山)

初回はこちら。各項目の説明は初回を参照のこと。

霧ヶ峰高原No.6 霧ヶ峰(車山)
〔標高〕1,925m
〔標高差〕車山の麓からで125m,八島ヶ原湿原からで約300m
〔獲得標高差〕八島ヶ原湿原からで約400m
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕4巻・アニメ2期
〔県のグレーディング〕3A(一番長いコースの場合)
〔私的な難易度と感想〕3A
旅行記をすでに書いているので,詳しくはそちらで……と思ったら当時に登山的なことは何も書いていなかった。霧ヶ峰は高原であるので登山可能な領域はかなり広く,東西に長い。最西端は八島ヶ原湿原,最東端が最高地点の車山山頂である。八島ヶ原湿原から出発して車山の方向へ歩いていくか,車山の麓の車山肩駐車場から出発して先に山頂を制覇し,その後八島ヶ原湿原に向かって歩いていくか,どちらかが一般的なコースになるだろう。どちらのスタート地点へも豊富にバスが出ている。道はよく整備されていて難易度は高尾山以下だが,八島ヶ原湿原から車山山頂まで全部歩くと5時間超になり,かなり長いのでルート取りは注意が必要。景観は,ある年齢層以上の人なら思わずWindowsXPと言ってしまうこと請け合いの草原が広がっている。なお,景色を楽しむだけならヴィーナスラインで外周を車で走る方が良いというのは禁句である。


PIC000137No.7 棒ノ嶺(棒ノ折山)
〔標高〕969m
〔標高差〕白谷沢登山口からで640m,さわらびの湯からで700m
〔獲得標高差〕約900m
〔百名山認定〕無し
〔ヤマノススメ〕5巻
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕2B
初めて他人を誘って登った山として,私的には印象深い。飯能駅からバスに乗って名栗湖まで,そこからが登山。名栗湖自体がなかなか景観が良い。登りは手軽に沢登りできるのが特徴で,登山道は涼やかである。白谷沢登山道の前半は沢登りになっていて,それほど滑って転ぶ危険無く沢登りが楽しめる。高尾山6号路の次はここだろう。一方,沢以外の登山道はけっこう荒れていてやや登りにくい。道中けっこう「ここは本当に道なのか?」というような場所があって困惑した。同行の埼玉県出身者に聞いたところ「埼玉県民は山梨県民や長野県民とはまた違った山の民なので,登山道が荒れていても大して気にしないところがある。『ヤマノススメ』見てればわかるでしょ?」という非常に説得力のある説明をされて納得するしかなかった。山頂からの眺望はそこまで良くない。棒ノ嶺で画像検索をすると道中の沢登りの写真ばかりで山頂からの眺望が少ないところからも察してほしい。ここはあくまで沢登りとちょっと荒れた登山道を楽しむ山なのであって,眺望を期待する山ではないのだろう。難易度はそこら辺を考慮してB,コースタイムは4時間40分。下山後は登山口付近にあるさわらびの湯で汗を流すのが鉄板。地元の特産品と『ヤマノススメ』グッズが売っている。



棒ノ折山から高水三山への縦走-2023-06-18 / 稲田義智さんの岩茸石山棒ノ折山(棒ノ嶺)逆川ノ丸の活動データ | YAMAP / ヤマップ



赤城山地蔵岳No.8 地蔵岳(赤城山)
〔標高〕1674m
〔(獲得)標高差〕大沼から約310m
〔百名山認定〕無し(赤城山は百名山)
〔ヤマノススメ〕5巻・アニメ3期
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕1A+
『ヤマノススメ』が表紙のMAPが限定配布されていたので,こういう機会でも無いと登らない山だと思って急遽登山に行った。取り立てて特徴は無い登山道で,登りやすくも登りづらくもなく。コースタイムは1時間45分ほど。本来は大沼が一望できて眺望が良いのだが,私が登った時は霧が出ていてあまり見えなかった。『ヤマノススメ』でも雨が降っていて眺望が死んでいたので,聖地巡礼としては正しかったのかもしれないが……。写真の通り,山頂には複数の電波塔が建っていて,これが特徴になっている。霧中の電波塔が意外と映えていたのが救いか。しかし,『ヤマノススメ』聖地巡礼目的ではないなら特にお勧めするような山ではなく,やはり普通に赤城山最高峰の黒檜山に登るべきだろう。そんなことよりも麓の駐車場のドリフト痕がとんでもないことになっていて,そちらの記憶の方が強い。まだまだそういう文化が残っていて,その聖地なのだなぁ。黒檜山もそのうち登りに行きたい。下山後,アニメ版でここながぐんまちゃんに出会う赤城神社にも行ったが,アニメ放映当時と異なり,名物らしき朱塗りの長い橋は通行禁止になっていたので少し残念である(2019年6月時点)。『ヤマノススメ』で同時にあおいとほのかが行っていた伊香保温泉については別記事参照。


筑波山夜景No.9 筑波山(ナイトハイク)
〔標高〕877m
〔(獲得)標高差〕約350m(おたつ石コース,ロープウェー不使用)
〔百名山認定〕百名山
〔ヤマノススメ〕6巻・アニメ3期
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕1A
『ヤマノススメ』での登場があおいとひなたのナイトデート……もといナイトハイクであったので,私も友人たちとナイトハイクを決行した。ライトは富士山の時に使用したかなり強いやつを持っていったので,暗くて困ることは特に無かった。登山道はよく整備されている上に,観光スポットが多く,コースタイムは女体山山頂までで70分。そこから男体山まで足を伸ばしても25分増えるだけとかなり短いため飽きずに登山を楽しむことができる。男体山よりも女体山の方が標高が高いのはあまり見ないと思われる。女体山山頂からの眺望は良く,ナイトハイクだったために関東平野の夜景が綺麗であった。スマホのカメラなので多分全然伝わっていないのが惜しい。これは確かにデートスポットになりますわ。ケーブルカーやロープウェーを使えば全く登山せずに済むという点でも勧めやすい。普通に登るにしても下山はケーブルカーかロープウェーでよいと思う。なお,我々もケーブルカーで下山したのだが,その後の時間調整をミスして長時間バス停で待ちぼうけを食らう羽目になるはずだったところ,ケーブルカー付近のお店にお勤めの方に声をかけていただいて駅に近いバス停まで送ってもらったということがあった。茨城県民の心は温かい。それはそれとして,ケーブルカーとバスの乗り換え時間がシビアなのは間違いなく,観光地の割りには注意して計画を立てた方が良さそう。乗り放題パスを作っているのだから,公共交通機関同士で少し調整してほしい。  
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2021年11月20日

登山記録(高尾山・天覧山・三ツ峠山・富士山)

5・6年前から趣味の1つに加わったはいいが大してブログに書いてなかったために溜まりこんだ登山系の旅行記と,好きなのに全く感想を書いていない『ヤマノススメ』の漫画&アニメの感想,そして既存の登山難度グレーディングに対する注文をどう処理しようか迷った挙げ句,まとめて処理すべく,登山記録をつけていくことにした。記録の順番に迷ったが,『ヤマノススメ』の聖地巡礼として行ったところをまず原作登場順に記録し,次に未登場の山を北から順に書き,尽きたところからは時系列とすることにした。また,1記事につき4・5座程度として,ストックのある35座程度が消化し終わるまでは2・3週間ごとに投稿し,尽きてからは1シーズンごとに投稿することにした。

紹介形式であるが,まず山のステータスを書いて,後ろに登山の感想などを付していくことにする。山の名前には何かしらの情報サイトへのリンクを張っておいた。

〔標高と標高差〕
文字通りの標高と,自分が登った際のスタート地点とのおおまかな標高差。
〔百名山認定〕
日本百名山・二百名山・三百名山・花の百名山・新百名山に入っている場合はそれをここに記載。重複しているものは左に書いたものを優先。
〔ヤマノススメ〕
『ヤマノススメ』の原作またはアニメに登場している場合はここに話数を記載。なお,私が登山を始めた契機は寺社仏閣巡りの延長線上で,投入堂と浅間大社奥宮が当初の目的であり,『ヤマノススメ』は後付だったりする。天覧山・富士山・谷川岳・金峰山以外はそれ目的というよりも偶然重なっていたという意味合いの方が強い。ヤマノススメの聖地巡礼については次のサイトが参考になる。
・ヤマノススメ聖地巡礼 全山行一覧(クレコ)
〔県のグレーディング〕
都道府県が認定している難易度グレーディングがある場合はここに記載。これには少し補足説明が要るだろう。登山ブームによる無謀登山が増えたことを受けて,近年は長野県や山梨県が中心となって地方自治体が難易度の目安を発表している。たとえば長野県はこれ。他の都道府県にもリンクが張られている通り,参加している県は年々増えており,5年前くらいは8つだったと思うのだが,現在は11まで増えた。非常に有用なのでできれば全県で実施してほしい(埼玉県のお前のことだぞ)。なにせ百名山でさえまだ67座しかカバーされていない。このグレーディングの基準は2つあり,数字とアルファベットで表示される。数字の1〜10は体力度で,実際には細かな計算があるが,大雑把に言えば数字が1増えると2.0〜2.5時間くらい歩行時間が増える。アルファベットは技術などの難易度で,
A:初心者向け。ほぼ階段か土の斜面しかなく,ほとんどがスニーカーで登れる。
B:多少の岩場・鎖場・痩せ尾根・沢登り等の危険箇所が登場。登山装備が必要になるが,滑落しても死ぬ危険性は低い。
C:中級者向け。危険箇所がBよりも増え,滑落したら明らかに死ぬ箇所が出てくる。
D・E:上級者向け。
となっている。
〔私的な難易度と感想〕(写真がある場合は写真)
実は上述のグレーディングはA〜Eの5段階でつけている関係で,特にA・Bはそれぞれの中での幅が広く,比較すると同グレーディングとは思えない事例が散見される。また,アスレチック的な技術・ルートファインディング能力・日照や補給への対策等の難度を一本化して評価したものであるため,特にA〜CはこのうちのどれのせいでAではなくてB・Cなのかがわかりにくいという欠点がある。そこで本記録では私自身の経験とネット上の他者の登山記録等から,A・B・CをさらにA・A+・B-・B・B+・Cの6段階に分け,その上でB-以上はA+以下ではない理由を付すことにした。なお,D以上の山は私自身が登れる気が全くしないため,本記事にはそもそも登場しない。というよりもD以上を登れる人はB以下の細かい難易度の差なんて大して気にせんでしょ(偏見)。以下は一例。


No.1 高尾山
〔標高〕599m
〔(獲得)標高差〕約400m
〔百名山認定〕花の百名山
〔ヤマノススメ〕1巻・アニメ1期
〔県のグレーディング〕2A
〔私的な難易度と感想〕2A(1号路)・2A+(6号路,稲荷山)
皆大好き高尾山。スニーカーでも,何なら革靴でも登れる山として有名。私も1号路・6号路・稲荷山ルートで4回くらい登った。1号路は寺院沿いということもあって整備されているというよりも石段が続くが,1号路は石段がかえってきつい。純粋な膝への負担だけで言えば6号路よりもきついと思う。ただ,観光地としては優れているので,6号路で登って1号路で下るのがよい。『ヤマノススメ』は正反対に1号路から登って6号路から下りているのだが,その6号路の途中であおい・ひなたがここなと出会っている。6号路と稲荷山ルートはどちらも1号路に比べるとちゃんとした登山路であるが,私は6号路を進める。6号路は樹林歩きが気持ちよく,簡単な沢登りがあって,これが結構楽しいからだ。沢登りがあるのでA+とした。滑って転ばないように気をつけよう。これに比べると稲荷山ルートはちょっと見どころに欠けるかなと思う。ただし眺望は稲荷山ルートの方が良い。



天覧山No.2,3 天覧山・多峯主山
〔標高〕197m・271m
〔(獲得)標高差〕飯能駅から天覧山で約90m,多峯主山まで行くと約340m
〔百名山認定〕認定なし
〔ヤマノススメ〕1巻・アニメ1期,3巻・アニメ2期
〔県のグレーディング〕無し
〔私的な難易度と感想〕1A
完全に『ヤマノススメ』の聖地巡礼のためだけに登った珍しい山。天覧山は1883年に天皇がここから練兵を視察したことからこの名前がついた。その天覧山は1Aというか,完全に散歩である。15分もあれば重文に登頂可能。景色は写真の通りなかなか良く,飯能の市街地が一望できる。飯能市が誇るのも,『ヤマノススメ』の作品最初の山に選ばれるのもよくわかるところ。1つ奥の多峯主山(とうのすやま)になると少しちゃんとした登山になるが,それでも高尾山6号路よりは楽で,天覧山からは30分弱で着く。樹林歩きとしてはまずまず楽しいし,山頂からの眺望もあるが,聖地巡礼が目的でないならしいて行かなくていいかなと。なお,天覧山麓にある飯能市博物館が無料の割にコンテンツが充実していて,飯能市の歴史や自然がよくわかるのでお勧め。また,多峯主山からの下山はピストンで天覧山に戻った方がいい。そのまま反対側に下山すると市街地から大きく外れることになり,正直に言って見どころが薄い。


こんな感じで続きます。
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Posted by dg_law at 00:21Comments(2)